女優戸田恵梨香(30)が19日、東京・練馬の日本大学芸術学部江古田キャンパスで主演映画「あの日のオルガン」(平松恵美子監督、22日から公開)の未来の保育士試写会イベントに登場した。

1944年の第2次世界大戦末期に保育士たちが幼い園児たちとともに集団で疎開し、東京大空襲の戦火を逃れた「疎開保育園」の実話を映画化、戸田は保育士のリーダーを演じる。

戸田は「ここに来ていただいている保育士を目指す方たちがこの作品を見てどう思うかが気になります。思いが届けばいいかな」とあいさつ。

この日は、東京福祉大学保育児童学部と日本大学芸術学部映画学科の特別授業として行われ、学生約150人が映画を鑑賞した。

鑑賞後、同映画で、音楽好きな保育士を演じる大原櫻子(23)、平松監督とともに戸田は、学生からの質問に答えた。

保育学生へのメッセージを聞かれた戸田は「今朝、くしゃみをして体をひねってしまって歳だな~と感じたんですけど…。こういう体を痛めている時に保育士の方はどうしているんだろうと思ったんです。撮影前に保育園で実習をした時にとにかく体力のいる仕事だなと実感して、子供たちに見つからないように必死に隠れていたんです。子供の命を預かる責任で大変な仕事だと思いますし、保育士不足のニュースも耳にします。一人でも多くの保育士さんが増えるのを祈っています」と自身の体験を交え、答えた。

子供から教えられたことについて大原は、「日々学ぶことしかないと感じました。無心で楽しんでいる姿や1つ1つの行動が勉強になりました」と語った。

なぜ今、この映画を作ろうと思ったのかという質問に平松監督は「子供たちが過酷な環境に置かれているような気がする今だからこそ、『あの日のオルガン 疎開保育園物語』という原作がメッセージを持つと思ったし、伝えたいと感じた」と語った。

命の重さや大切さについて聞かれた戸田は「私は兵庫出身で6歳の時に阪神淡路大震災を経験しました。死を初めて目の当たりにしたけど、その恐怖がイマイチわからなかった。でも大人になってものを理解していく内に『何で何で何で』という気持ちが生まれたんです。その当時の気持ちを抱きながらこの作品に関わりました。命をつないでいくことがどれだけ大事かを痛感しました」と語り、最後に「この映画を見て皆さんで語り合ってもらいたいし、みなさんの心の中に何かが残ってくれたらいいなと思います。これからの人生、最大限に楽しんでください」とメッセージを送った。