文学座がテネシー・ウィリアムズの名作舞台「ガラスの動物園」を6月28日から7月7日まで東京芸術劇場で上演する。文学座で過去に4回上演された作品で、29年ぶりの上演。家に引きこもるローラに映画「スター・ウォーズ」でヒロインのレイの声を担当した永宝(ながとみ)千晶(35)、弟トムを亀田佳明(40)が演じる。

永宝は「やりたいと思った役ですが、決まってうれしかった一方で、私で大丈夫なのか不安もあった。見る人も感情移入ができる芝居で、見た人の心に残る作品にできれば」。母アマンダ役の塩田朋子は29年前にローラを演じており、「当時の書き込みのある台本を見せていただき、『焦らず、ゆっくりやっていけばいい』とアドバイスしていただきました」。

亀田も「いつかはと思っていたので、素直にうれしかった。母や姉への思いが強烈に描かれたドラマ。見る方の心のひだに伝わるように演じたい」。大先輩の江守徹もかつてトムを演じており、「江守さんが『トムのせりふは、心の叫びのようなもの』という言葉が印象に残っています、ハードルが高い役です」。

永宝は新潟の地元劇団で活動した後、29歳で文学座入りした。15年に「スター・ウォーズ」の声のオーディションを受け、レイ役を手にした。「経験がなかったので、決まって驚きました。映画を見て、『ごめんなさい』と思ったくらいです。でも、これをきっかけにプロ野球の始球式に出たり、地元のかしわざき大使にも就任しました」。7月11日に長岡でも公演があり、知人・友人が駆けつけるという。

亀田は大学時代は教師を目指したが、中退。姉が俳優座で女優をしていたこともあって、演劇に方向転換し、01年に文学座入りした。今年で入団から18年、本公演の主演や外部出演も増えてきた。「コンスタントにやっているので、充実している。みんなと協力して作品を作っていくことに喜びがあるし、生きている実感がある」。10月に文学座「一銭陶貨」に出演し、12月に新国立劇場「タージマハルの衛兵」に主演する。