20年度後期の次々期NHK連続テレビ小説「おちょやん」(来年秋スタート)が30日午前、制作のNHK大阪放送局で発表され、モデルは夫の故2代目渋谷天外を支え、松竹新喜劇をおこした浪花千栄子で、ヒロインは女優杉咲花(22)に決まった。

松竹新喜劇の草創期に活躍し、後に森繁久弥さんと映画「夫婦善哉」にも出演するなど、上方を代表する往年の名女優がヒロイン。東京出身の杉咲は「大阪弁のイントネーションが難しい」と苦戦中だが、制作統括の桜井壮一氏(49)は「大正から昭和、戦前戦後の活気ある道頓堀を舞台にした物語で、チャーミングさと力強さを兼ね備えた杉咲さんしかいないと思った」と言い、キャスティング理由を明かした。

杉咲は17歳から40歳代までを演じ、道頓堀の「芝居茶屋で女中」として働く場面からスタートする予定。桜井氏は、タイトルの「おちょやん」について、茶屋や料亭などで働く「小さい女中さん」と説明した。

浪花千栄子をモデルにした作品に決めたのは、彼女が出演していたNHKラジオドラマを、局内資料で聴いたことがきっかけ。桜井氏は「アーカイブで聞いて、下町のとってもあったかい話に感動した。78歳の母に聞くと『知っている』と言われ、昔の大阪の人なら誰でも知っていると思った」と語った。

「大大阪」とも称され、活気にあふれた当時の道頓堀の街並みについても、桜井氏は「予算にも限りはありますが、道頓堀五座も含めて、できる限りは再現できれば」と話す。

当時の大阪を舞台にした朝ドラとしては、17年後期「わろてんか」があるが、こちらは吉本興業の創始者・吉本せいをモデルにしていた。桜井氏は「今回は女優さんの話で、何より、その大大阪のど真ん中、道頓堀の話になる」と話している。

脚本は、「半沢直樹」「陸王」「下町ロケット」などを手がけた八津弘幸(やつ・ひろゆき)氏。

◆杉咲花(すぎさき・はな)1997年(平9)10月2日、東京都生まれ。11年にオーディションで芸能界入り。同年7月、味の素「Cook Do」CMスタート。11年に日本テレビ系「妖怪人間ベム」、16年にNHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」に出演。18年TBS系「花のち晴れ~花男 Next Season」で主演。今年はテレビ朝日系「ハケン占い師アタル」で主演。現在放送中のNHK大河ドラマ「いだてん」にも出演中。特技の書道は準6段。血液型B。