日本テレビ系「笑点」でおなじみの落語家三遊亭小遊三(72)が2度目の聖火ランナーに選ばれた。高校3年だった1964年の東京オリンピック(五輪)で故郷山梨・大月市で走って以来、56年ぶりに聖火ランナーを務める。2020年東京五輪・パラリンピックの開催に先立って6月28日に山梨県内を走る予定の小遊三は、「当時とは注目度も違うし、楽しみだね」と意気込んだ。

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「走るのは200メートルと聞いたから、引き受けた」と、ボケた小遊三は、「今回は最初に走った当時(64年の東京五輪)とは雰囲気が違うよね。注目度も高いし、『やったー!』という気持ちで、よく選んでくれたと思う。発表されてから、『おめでとう』のメールがたくさん来たし、そんなに注目されているんだと思った。2度目の聖火ランナーということで選んでくれたと思う」と喜んだ。

64年に聖火ランナーで走ったのは、山梨県立都留高で卓球部主将を務めた高校3年の時だった。「高校の運動部のキャプテンという条件で、同じ高校から僕を含めて4人が選ばれた。学校から『お前が走れ』って指名され、いや応なしだった。正直、うっとうしいなと思った」。

大月市内を1・2キロ走ったが、学校の女子から騒がれることもなく、家族は誰も見に来なかった。地元新聞に小遊三が走る写真が掲載されたことが、唯一の聖火ランナーの証拠だった。

しかし、落語家になって、聖火ランナーで走ったことが「ネタ」になった。「オリンピックの度に取材があった。おいしかった」。今回、落語家では兵庫県で笑福亭鶴瓶、富山県で立川志の輔が走ることが決まっている。「2度目の聖火ランナーって、僕くらいなもの。落語家として聖火ランナーが武器になった」。

今も高校・大学と続けた卓球を週1回やり、月1回のゴルフも欠かさず、体力面の不安はない。6月28日に走る予定だが、「距離やコースはまだ聞いていない」。卓球女子の五輪代表に決まった平野美宇(19)とは、同じ山梨出身ということで、幼稚園児だった平野と卓球対決をしたことがある。「うまかったね。女子の団体戦は取りこぼしがなければ、銀メダルは確実。会場には行かず、テレビ観戦だけど、金メダルを取ってほしい」と、真顔で話した。【林尚之】

◆三遊亭小遊三(さんゆうてい・こゆうざ)1947年(昭22)3月2日、山梨県大月市生まれ。明大在学中の68年に三遊亭遊三に入門。遊吉を経て、二つ目で小遊三と改名。83年に真打ちに昇進し、同年から「笑点」の大喜利メンバーに。落語芸術協会副会長を経て、現在は同協会参事。01年に芸術祭優秀賞。