ジャーナリスト池上彰氏が19日、都内で行われた映画「Fukushima50(フクシマフィフティ)」(若松節朗監督、3月6日公開)の試写会でトークイベントを行い、新型コロナウイルスの集団感染が起きたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の中で活動している人たちに思いをはせた。

映画は、東日本大震災時の福島第一原発事故で現場に残り、炉の制御に奔走した50人の作業員の物語。放射線の危険と向き合いながら任務を果たそうとした人たちの姿を観客に生解説した池上氏は、新型コロナウイルスの集団感染が起きたダイヤモンド・プリンセスで活動する人たちに言及した。

「フクシマ50の時は放射線だったが、今回は未知のコロナウイルス。なんとか感染を広げないように、大勢の人が活動している」。実際に、船内で活動していた関係者の感染も起きており「患者さんをなんとか助けなきゃいけないけど、それをすることによって自分は大丈夫だろうか、という中でやっている。ダイヤモンド・プリンセス50かどうか分かりませんけど、そういう人たちも大勢いらっしゃる」。

フクシマ50の作業員たちが今でも「私たちは当たり前のことをやっただけ」と話していることを挙げ、「私たちが分からないところで、自分の任務を果たそうとして一生懸命やっている方々は日本中にいらっしゃるんだということ。新型コロナウイルスでも、私たちは『何やってんだ』とつい思ってしまいがちですが、そこで頑張っている人たちのことも、思いをはせていただければと思います」と語った。

トークショーでは、原子力発電の仕組みや、福島第一で爆発が起きた原因、米軍によるトモダチ作戦などをフリップを使って生解説。今も増え続ける汚染水の問題などに触れ「あの人たちの努力に報いるためにも、これからどうするかを考えなければならない」と訴えた。