先日、ザ・ワイルドワンズのコンサートを取材した。公演タイトルは「結成54周年記念公演 お楽しみはこれからだ!2020秋」。54周年というのが何とも中途半端のような気がしたが、コロナ禍の中だけに、アーティスト側にとってもファンにとっても久々の生ライブ。制限の範囲内だが、客席もほぼ埋まり、黄色い声援こそないものの、ペンライトがともり、拍手がわき、会場が一体となる。これは、オンラインライブとは、やはり違うものだと実感する。

ザ・ワイルドワンズは15年4月にリーダー加瀬邦彦さん(享年74)が亡くなった。メンバーは鳥塚しげき(73)植田芳暁(72)島英二(73)の3人になったが、加瀬さんの次男でギタリストの加瀬友貴(37)が加わり、再び4人組のユニットに戻った。鳥塚ら従来のメンバー3人の平均年齢は限りなく73歳に近いだけに、友貴の加入は、バンドにとってもファンにとっても救世主だろう。

公演は、ヒット曲「思い出の渚」など、アンコールも含め全22曲を披露。中でも、ザ・ワイルドワンズVSザ・タイガースと題して、2グループの楽曲の歌合戦も行うなど、GSファンにはたまらない内容だった。

とはいえ、平均年齢73歳の3人にとっては、なかなかしんどかったというのは隠せない。ところどころ、声がかすれたり、声量がやや足りなかったりするシーンがみられたことも否めない。

それでも、そんなことはファンも百も承知のこと。それも含めてのコンサートであって、それがアジなのだと思う。【竹村章】