コロナ禍の中、暮れ行く2020年、ザ・ドリフターズのメンバーでタレントの志村けんさん(享年70)は3月29日、新型コロナウイルス感染で逝去した。ドリフのメンバー仲本工事(79)が、努力の積み重ねで才能を開花させた希代のエンターテイナーの死を悼み、エピソードを交えて志村さんへ惜別のメッセージを語った。

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志村さんを失ったドリフは加藤茶(77)、高木ブー(87)、仲本の3人になった。志村さんは加藤の付け人を経て、1974年にメンバー入りした。

仲本 初対面の印象はあまりないなあ。メンバーそれぞれにボーヤ(付け人)がいて、加藤ちゃんの新しいボーヤ? ぐらい(笑い)。しばらく顔見てないなと思ってたら、脱走したって聞いた。けど、いつの間にか戻って来た(笑い)。

-付け人時代は?

仲本 大劇場ではボーヤのコーナーがあって5人でコントをやっていた。志村は物おじしないし、付け人を突き抜けた存在。ボーヤの中で真っ先にイベントの前座でリーダー格になっていた。

-メンバー入り後は? 

仲本 ドリフの笑いは「昭和の時代のテンポ」で、志村は次の世代のテンポ。ドリフのテンポで見ていた人が、志村にアップテンポについていけなかった。融合するまで1年ぐらいかかったかな。ドリフと一緒の時は昭和のテンポ。加藤ちゃんと一緒の時はアップテンポと、うまく使い分けていた。

-かなり努力された?

仲本 海外からビデオをたくさん取り寄せて人気の芸人をいつも勉強してた。洋楽を中心にいろんな音楽も聞いていた。土曜放送の「8時だョ!全員集合」(TBS系列)の直前の木曜日は「魔の木曜日」と呼ばれていた打ち合わせがあって、いかりや(長介)さんが、オーケーしないコントは採用されない。志村は、いたずらで「東村山音頭」を歌い、洋楽のリズムの「ヒゲダンス」を提案した。

これが大ブレークした。日本中がドリフに沸き、ビデオが普及していない当時の子どもたちが、ドリフをまねて遊ぶ姿が日常の光景だった。

仲本 志村がすごいのは、ビデオもない時代に小学生でも、まねしやすい芸やコントを作り上げたこと。

-今、伝えたいことは?

仲本 志村はいつも「年取ったら、またみんなでやろう」って言っていた。来年1月に加藤ちゃん、ブーちゃんと僕でオンラインライブをやるよ。志村も長さんもそこにいるから。志村、天国でも長さんと何か、やってんじゃないの?(笑い)。悪いけど一緒にやるのはまだ早いな。2人でゆっくり待っててね。【構成・大上悟】

◆志村けんの貴重コントとともに20年を笑い締め! 「ドリフ・バカ殿・志村友達大集合SP」が28日、フジテレビ系列で放送される(18時30分~21時)。志村けんさんと親交のあった豪華ゲストを迎え、「ドリフ大爆笑」、「志村けんのバカ殿様」、「志村けんのだいじょうぶだぁ」などで志村さんが見せたコントを放送する。志村さんと20年以上の親交があった笑福亭鶴瓶、浜田雅功、氷川きよしがスペシャルゲストとして出演。貴重な映像やエピソードとともに大悟(千鳥)、柴田英嗣(アンタッチャブル)とトークを繰り広げていく。

◆オンラインライブ 来年1月17日(午後5時~7時30分)、「高木ブー家を覗いてみよう~オンラインだョ!全員集合~」(仮)が東京・浅草九劇で無観客開催され、ニコニコ動画からライブ配信される。出演は高木ブー、加藤茶、仲本工事らでチケット料は3000円を予定している。

◆「仲本家 純歌の台所」 東京都目黒区緑が丘1の14の1 電話03(3717)8820