ワハハ本舗の梅ちゃん、こと梅垣義明(61)が、十八番の「豆飛ばし」を封印してステージを行う。

大阪と東京で「梅ちゃんの新春シャンソンショー2021~客席が恋しくして、冬~」(9、10日・松下IMPホール、2月27、28日・シアターサンモール)を新型コロナ禍における新しいスタイルで開催する。

女装姿でシャンソンの「ろくでなし」を歌いながら、春日井製菓のグリーン豆を鼻に詰めて鼻息で観客に飛ばす名人芸。昨年の大みそかの日本テレビ系「笑ってはいけない」では、梅垣とともに稲垣吾郎(47)も披露した、もはや日本の伝統芸能と言っても過言ではないおなじみのネタだ。

梅垣は「豆飛ばしは飛沫(ひまつ)感染につながるからできない。基本的にお客に絡むネタはできないから、舞台で自己完結できるネタをやるしかない」。構成・演出を担当するすずまさ氏(60)は「梅垣のステージは、半分はお客さんとの関係性で盛り上がる。新しい年の新しい挑戦になる」と説明している。

新型コロナ感染対策を万全にしての公演だが、元々のネタがお客を巻き込んでのものばかり。客席に降りて行っていじりまくり、水をぶんまき、客を舞台に上げてパンティーストッキングをかぶせる。

全てが密になるネタばかりだが、梅垣は「30年以上やってるんだから、他にもネタはある」と自信を見せる。それでも「お客さんは、女子プロレスみたいに逃げまどうところに楽しさを求めている。乱暴なようでギリギリのところを攻めていたから、新しい形を考えないとね」と話している。

昨年1年間は次々と公演が中止になった。「劇場に来てくれるお客さんは本当にありがたい。それに対しては“時間をもらう責任”がある。オーディエンス(観客)の力に乗せられて、2階席、3階席まで走って、客を走らせて盛り上げてきた。これは配信じゃできないこと」と言う。

それでも、時代に対応するために新しい形での配信を考えている。「お客さんを5人だけ入れての配信とか。お客さんと一緒に作る笑いだからね。その5人と作った笑いを配信できれば」と話している。

84年にワハハ本舗入りして37年。還暦も超えた。「子供の頃に明治生まれのおじいちゃんを見て育ったけど、自分が昭和生まれのおじいちゃんになって、こんな格好で歌ってると思わなかった(笑い)。裸になって笑ってもらえるうちは、裸で走りたいし、わき毛も剃っていきたい。たまにわき毛に、白毛があるのを見つけると悲しくなるけど」と笑う。

目標は“生涯現役”だ。「お客さんも年をとってきて、亡くなった人もいる。ずーっと来てくれてたおばあさんの姿が見えないようになると、死んじゃったのかなと。最後は舞台でシャンソンを歌って笑われながら死んでいくのかな。このじいさんは裸になっても笑える、そんな風になりたい」と話している。【小谷野俊哉】

◆梅垣義明(うめがき・よしあき)1959年(昭34)7月12日、岡山県生まれ。84年10月ワハハ本舗に参加。96年NHK大河「秀吉」、96~03年テレビ朝日系「はみだし刑事情熱系」シリーズに出演。16年舞台「毛皮のマリー」。178センチ、70キロ。血液型O