女優井上真央(34)が9日、公開中の主演映画「大コメ騒動」の公開記念トークショーに都内で出席した。

当初は観客の前で舞台あいさつの予定だったが、緊急事態宣言下で無観客とし、この日午後8時から公式YouTubeチャンネルで配信のトークショーとなった。

共演の室井滋、鈴木砂羽(48)本木克英監督(57)とともに舞台に立った井上は「こんな大変な状況の中で見ていただいてありがとうございます。思いがけず、ユーチュービ? YouTubeデビューできましたので、短い間ですが楽しんでください」と笑顔を見せた。

物語は1918年(大7)に富山の主婦たちが決起した「米騒動」をもとに描くエンターテインメント。井上は、農村から漁村へと嫁に来ておかか(女房)たちにまざり、出稼ぎの夫が留守の家庭を守り、浜で米を担いで運び、3人の子供を育てる主人公・松浦いとを演じている。

物語の舞台となる富山出身の室井は「北陸は(1962~63年の)サンパチ豪雪以来の事態になっています。試練の上に試練ですが、この作品自体が試練に打ち勝つ内容。正しく恐れて、こっそり劇場にきてください」。

鈴木は「映画を1つ公開するのってすごく大変。作ってから公開するまで長くかかるんです。今回も皆様の前で上映できることをうれしく思います。この状況の中でも“負けんまい”という気持ちで、エンターテインメントの必要性を考えていきたい」。

元日から先行公開となった富山で、プロモーションのために映画館の1日支配人を務めた本木監督は「一昨年に撮影を終えて、緊急事態宣言の中、リモートで編集して作り上げた。主演の井上真央さんが、こういう時期だからこそ、みなさんにメッセージを伝えたいと。こんな時期だからこそ、新作の映画を公開する意義があると思う。映画館は感染対策万全、換気も行き届いて、20時までの営業ですが開いてますので、来てくださいと言いませんが、よろしくお願いします」と話した。

米を家族に満足に食べさせることができなくて、決起した女性たちを描いた作品とあって、井上は撮影中は米断ちをした。「お米を断つと、(体重が)どんどん減っていくんですよ」と振り返ると、本木監督が「でも、日本酒は飲んでいたよね」とツッコミ。井上は「あんまりストイックだといけないし、室井さんがおいしい鱒すしを買ってきてくれたので、酢飯はOKということで」と笑った。

米騒動は歴史の教科書にも載る史実。室井は「富山県の女の人は男の人を立てて、家族が困った時はちゃんと意見を言う。県外の方にも分かっていただけるのが、私としてはありがたい」。鈴木は「監督の作品は大勢の群像劇で、動きのある作品。今回も、見どころは最後、一致団結したおかかたちが海に集まっていくところとか、それ以外にもありました。女性が共感できる作品だなと思います」と話した。

井上は「見終わった後に、庶民の底力を感じる。監督が『時代は繰り返されるんだ』と言っていたんですけど、本当に繰り返されるんだなと思いました。時代を引っ張るヒーローとかもいるんだけど、その中で名もない人の、庶民の力が世の中を変えていったのかなと思った。この時代に勇気を与えられるような作品だと思います。大変な状況が続くと、出口のないトンネルにいるような気分になる。そこに一筋差す光に映画とか娯楽がなればいいなと、そう信じて頑張って行きます。もちろん安全第一、健康第一で」。

本木監督は「映画館開いてます。それだけは伝えます。感染対策も、換気もしてます。急ではないけど、不要ではない。映画館、開いてます」と話した。