特集ページの関係で、月に何度か10代から30代のジャニーズタレントにゆっくり話を聞く機会がある。

ジャニーズJr.という独特な世界で育ったからだろう。逆に「世間の常識」に近づこうという心理的ベクトルが働くようで、彼らから聞く「最近のプライベート」から、日ごろの取材では接することのない世の中の静かなブームを実感することがある。

ジャニーズWESTの中間淳太(33)は「コロナ禍の前は月に2回くらいのペースで『ヒルナンデス!』の梅沢廉アナと脱出ゲームに行ってました」と明かした。会場で謎解きをし、実際に脱出する体験型の「リアル脱出ゲーム」のことである。

存在は知っていたが、参加したことはない。検索してみると、自宅から電車で30分以内のところに常設会場が5つもあることに驚いた。

その何日か後に加藤浩次のTBS系「がっちりマンデー!」に脱出ゲームを主催するスクラップ社の加藤隆生社長が出演していて、なんと売り上げは38億円だという。

中間は「1人でやるゲームもありますが、何人かで知恵を出し合ってやる集団作業に醍醐味(だいごみ)があります。老若男女、みなさん楽しんでいます」と会場の雰囲気も教えてくれた。

ジャニーズJr.内ユニットTravis Japanの宮近海斗(23)からは「最近よく『バウンティー』を聴いています」と聞いた。

ピンと来なかったので、取材後に検索してみるとBOUNTYというヴィジュアル系のロックユニットがヒットした。宮近の外見にはそぐわない気がしたが、意外とこういうのを聴くんだ、と思った。が、読み進めるとこのユニットは11年前に解散している。「最近グッズも購入したんです」と喜々として語っていた宮近の話とつじつまが合わない。

もう1度取材の録音を聞き直してみると、「バウン『デ』ィー」と聞こえた。再検索するとVaundyは20歳のシンガー・ソングライター。そうだ、テレビ東京系深夜ドラマ「捨ててよ、安達さん。」のオープニングテーマを歌っていた人だった。軽めのリズムに乗って、日常の機微をちょっと憂いを含んで歌う。いい感じの曲だった。

検索を進めると、昨年5月には新世代の世界的スターLAUVからオファーを受け、「グローバルリミックス」にも参加しているという。ドラマの主題歌を漫然と聴いていただけだったが、かなりすごい人だ。

こちらで間違いない。即座にVaundyと気付かなかったことを恥じるとともに、カタカナにすると濁点違いの類似名でまったく毛色の違うユニットがあることを図らずも知ることになった。   【相原斎】