歌手谷村新司(72)が4日、東京・国立劇場でリサイタル「THE SINGER」(5日まで)を開催し、会見を開いた。

同会場でのコンサートは2年ぶり。昨年は新型コロナウイルスの影響で開催を見送っており、「アーティストとしては来年50周年。生で歌を届けられないつらさをしみじみと感じた1年でした」と振り返った。昨年9月には、収容人数を減らすなど、感染対策を徹底した上で大阪でライブを行い「人数が半分なのに拍手が3倍くらいに聞こえた。理屈じゃなくて細胞が反応していく。体力のあるうちは続けていきたい」と意欲的に語った。

また、新たな試みとして谷村の公式動画配信サービス「タニテレ」をスタートさせたことも発表。コロナ禍で「できることを考えた結果」といい、同プラットフォームを通じてラジオ番組「谷村新司のラジテレ」や過去のライブ映像、ドキュメンタリーなどさまざまなコンテンツを配信していく。

谷村は96年に世界初の商業用DVDソフト「シンジ ラ ムニタ」を制作するなどデジタル技術をいち早く取り入れており、「前人未到のことを切り開くのは谷村の役割。72歳にして、日本が抱えるDX(デジタルトランスフォーメーション=デジタル技術の革新)という命題に少しでも貢献できれば」。デジタルになじみがない同世代の人たちにも「一緒に学びながら、初めてのことに挑戦しませんか」と呼び掛けた。

谷村は「皆さんが訪れたことがない日本や世界中の場所を紹介できたら」と新コンテンツ開発にも前向き。現在の出演者は谷村のみだが、アリスのメンバーをゲストに呼ぶことも思案しており「アリスとして50周年を迎えるころには登場してねと。『いつでも行くよ』と言ってくれている」と笑みを浮かべた。