俳優成田凌(27)主演の映画「くれなずめ」(松居大悟監督)の公開記念舞台あいさつが15日、都内で行われた。先月29日に公開予定が緊急事態宣言発令で延期され、今月12日に公開された。

舞台あいさつには、主題歌の「ゾウはネズミ色」を歌うウルフルズのトータス松本(54)がサプライズで登場した。前日14日が最終回だったNHK連続テレビ小説「おちょやん」で、トータス、成田、若葉竜也(31)は共演したばかり。ヒロインのトータスは飲んだくれの父親、成田は浮気者の夫を演じた。成田が「今、日本で一番嫌われてる2人」と笑うと、ヒロインから慕われる役だった若葉は「僕は嫌われてませんけどね」と笑った。

主題歌の「ゾウはネズミ色」について、トータスは「やったことない仕事だったから、やんわりこのままなくなった方がいいなと思っていた。だけど、仕事で成田君と会ったから『どんな曲がいい』と聞いてみたた。若葉君はできた曲を聞いて『MVを撮りたい』と言ってくれました」。松居監督は「この話のもとになった友達がウルフルズ好きで、僕も好きになった。トータスさんに手紙を書いたら、やらないとは言われなかったけど、やるとも言ってもらえなかった」。トータスは「あれはオフォーだったのかなぁ。ただのファンレターかと思った」と笑った。

劇中ではウルフルズの「それが答えだ!」が流れ、エンディングで主題歌の「ゾウはネズミ色」が流れる。

トータスは「『それが答えだ!』から24年のアンサーソングが『ゾウはネズミ色』。答えは出ないんだと思う」。松居監督は「曖昧なものを、映画が90分かけたのを、最後に『ゾウはネズミ色』が答えてくれた」。トータスは「本当にもやもやっとした、なんともすてきな映画です。これに僕が昔書いた曲が関わっているのが恥ずかしい、うれしい。新しい曲でも参加できたのが最高の思い出になりました」と話した。

成田は「最後のエンドロール込みの5、6分は愛にあふれた時間だと思います。僕にとっても青春の思い出。いろんなもやもやがあったけど、サッパリ、スッキリさせなくてもいいじゃないか。それが答えだ。焦らずに届けることがいいなと思う」。松居監督は「友達みたいな映画を作ろうと思った。友達って楽しかったり、意見がまとまらなかったりする。(映画のモチーフになった)その友達がいたような気がします。(みなさんも)友達に伝えてください」と感激の涙をぬぐった。

物語は友人の結婚式に参加するため、高校時代の“帰宅部”仲間のアラサー男子が5年ぶりに集まる。かつて文化祭で披露した赤いフンドシ一丁のダンスを披露するが、盛大に滑りまくる。やがて、5年前に突然死んだ仲間の話題になる。題名の「くれなずめ」は、日が暮れそうで暮れない「暮れなずむ」を命令形にしたもの。なかなか前に進むことができない青春の日々の葛藤を描いた。16年の映画「アズミ・ハルコは行方不明」などで知られる松居監督の高校時代の友人との出来事がモチーフになっている。

高良健吾(33)藤原季節(28)目次立樹(35)も出席した。