8日に閉幕した東京五輪は、コロナ禍で無観客が中心だったこともあり、テレビ中継への需要が高く、その内容にもスポットライトが当たった。

開会式の世帯平均視聴率は56・4%を記録。サッカー男子準決勝日本-スペイン戦は30・8%、同準々決勝日本-ニュージーランド戦は26・9%、卓球女子団体決勝日本-中国戦は26・3%(全て関東地区、ビデオリサーチ調べ)をマークし、連日のように高視聴率の競技が続いた。

在宅応援が基本となる中、ユニークな実況・解説陣も五輪中継に花を添えた。柔道では、天理大柔道部監督・穴井隆将氏(37)が、奮闘する大野将平(29)に対し「強い気持ちで」と繰り返すなど熱のこもった解説ぶりが視聴者の共感を呼んだ。空手、サーフィン、スポーツクライミングなどの新採用競技も注目され、特にスケートボードの解説を務めたプロスケートボーダー瀬尻稜氏(24)の「ゴン攻め」「やべー」などカジュアルな語り口がSNSで広がり人気を得た。選手がお互いをたたえ合う和やかな試合の雰囲気とともに新鮮に映り、競技の魅力発信に一役買ったと言えそうだ。

一方、猛暑の影響でサッカー女子決勝、同男子3位決定戦、女子マラソンは競技前日に開始時間が変更され、放送局は対応に追われた。また韓国とドミニカ共和国が対戦した野球の3位決定戦や、スペインとブラジルが対戦したサッカー男子決勝の地上波中継はなし。男子サッカー決勝はNHKBS1で約20分遅れでディレイ放送され、同局特設サイトや民放各局による「gorin.jp」などでネット中継もされたが、スポーツファンの裾野が広がる中で、「日本以外」の強豪対決の地上波中継がないことを残念がる声も見られた。【遠藤尚子】

◆東京五輪「放送で話題」アラカルト◆

▼開会式 全50競技のピクトグラムをパントマイムで表現。「ドラゴンクエスト」など人気ゲーム音楽を使った入場行進も

▼「ゴン攻め」「ビッタビタ」 瀬尻稜氏(スケボーで、積極的なプレーや大技を決めた選手を独特の表現)

▼「13歳、真夏の大冒険!」 フジテレビ倉田大誠アナ(スケボー女子ストリート決勝で、西矢椛が金メダルを決定付ける技を決めて)

▼ヴィトン 北島康介氏(スケボー女子パーク予選にルイ・ヴィトンのアロハシャツ風衣装で登場し「今日はちょっとゴン攻めしに」)

▼「オーマイガー!ディス・イズ・BMX!!」 勅使川原大地氏(BMXフリースタイル女子決勝で高得点を出した選手に)

▼「うそ、うそ、うそ…」「ああ~マジか…」「それを取っちゃいか~ん」 穴井隆将氏(柔道混合団体準々決勝でエース大野将平が敗れた場面や混合団体決勝で審判の判定に感情あらわに)

▼「やっぱり、お兄ちゃんも強かった!」 フジテレビ竹下陽平アナ(柔道男子66キロ級阿部一二三が金メダルを決めて)

▼「行けー!」 萩原智子氏(競泳男子200メートルバタフライ本多灯を絶叫応援)

▼「誇り高き銀メダルです!」 フジテレビ中村光宏アナ(バスケ女子決勝で敗れた日本に)