松本幸四郎(48)が6日、「九月大歌舞伎」(27日まで、東京・歌舞伎座)の第2部「近江源氏先陣館 盛綱陣屋」の取材会をオンラインで行った。

新型コロナ陽性者確認で2日から6日まで休演したため、同部のみ今日7日に開幕する。幸四郎は「開く日は必ず来ると信じていました。毎日、毎日、今日で終わりじゃないかという積み重ねで歌舞伎公演ができている。1日1日という気持ちを今まで以上に強く持って務めたい」と話した。

「盛綱陣屋」は、敵味方に分かれた武士の兄弟を描いた時代物の大作。幸四郎は「大きな大きなお芝居。私にとっても、私の家にとっても大事なお芝居。一生懸命務めたい」とし、本興行で初めて演じる盛綱については「武士としての立場、人としての情、どちらも持っている」と魅力を語った。

盛綱が弟の首実検をする場面が有名で、子供のころは芝居遊びをする中で首実検ごっこもやっていたという。幼いころから親しみ、あこがれた盛綱は、父松本白鸚、叔父中村吉右衛門が何度も務めた役でもある。白鸚からは「武士と人の情をいかに出すか、対する相手での切り替わりが大事だと言われました」と話した。

通年、9月の歌舞伎座興行は、初代中村吉右衛門をたたえる秀山祭が行われる。コロナ禍でもあり、叔父吉右衛門(77)も休養中とあって、秀山祭とは銘打たれていないが、幸四郎は「自分の心の中では、秀山祭の月だと思っています。(叔父は)療養中ですので、戻ってくれるまで9月の歌舞伎座公演は秀山祭だと思っている。今月は特に強く思って務めたい」と話した。