V6がデビュー26周年となる1日、千葉・幕張メッセでのラストライブをもって解散します。岡田准一(40)三宅健(42)森田剛(42)井ノ原快彦(45)長野博(49)リーダー坂本昌行(50)の6人の活動の軌跡を、日々の取材および紙面連載「サタデージャニーズ」などを通じて触れてきた日刊スポーツ記者が振り返ります。

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9月、都内でジャニーズ事務所所属タレントが主演する舞台は10本を超えた。ミュージカルだけでなく、現代劇にもアイドルが主演する舞台が増えているが、その流れの先頭にいたのが森田だった。

05年、劇団☆新感線公演「荒神~AraJinn」で舞台初主演し、08年「IZO」で幕末に生きた人斬りの岡田以蔵を演じた。薄汚れた姿で、凶暴さと弱さを併せ持つ以蔵役に挑む森田に、日本を代表する演出家たちが注目した。

蜷川幸雄氏は「世間との疎外感を体の中に持ち、ひねくれて隅っこにいる印象。野ネズミのような」と独特の存在感を愛し、寺山修司作「血は立ったまま眠っている」で孤高のテロリスト、ケラリーノ・サンドロヴィッチ作「祈りと怪物」では悲しみと狂気を抱える青年と、難役を託した。宮本亞門氏も「捨て身で役に没頭する」と舞台への取り組みを高く評価、三島由紀夫作「金閣寺」で金閣寺に火を放つ主人公に指名。11年ニューヨーク公演では世界の演劇人あこがれのリンカーンセンターの舞台に立った。劇作家の鄭義信氏や岩松了氏、映画監督行定勲氏も自らの演出舞台に起用した。20年には英国の気鋭の劇作家、演出家とタッグを組んだ世界初演作「FORTUNE」で悪魔と契約を結んで破滅する映画監督を演じて称賛された。

俳優として成長する森田にV6のメンバーも一目置いた。森田は舞台を勉強の場と位置付け、「自分の殻を破りたい、変わりたい、さらなる先へと進みたい」との思いで向き合った。そんな姿を間近で見てきただけに、森田の「退所」という選択を尊重した。妻宮沢りえとの出会いも、蜷川氏が演出を予定した16年「ビニールの城」。人生のターニングポイントに、いつも舞台があった。森田は舞台を愛し、そして愛されている。【林尚之】

◆森田剛(もりた・ごう)1979年(昭54)2月20日、埼玉県生まれ。93年ジャニーズJr.入り。95年V6メンバーとしてCDデビュー。岡田、三宅とともにComing Century(通称カミセン)。97年NHK大河ドラマ「毛利元就」で主役の幼少期を演じる。98年日本テレビ系「24時間テレビ」マラソン100キロ完走。舞台「荒神」「金閣寺」など出演。16年、「ヒメアノ~ル」で映画初主演。18年に宮沢りえと結婚。特技ボウリング。血液型A。