テレビ朝日の富川悠太アナウンサー(45)が3月末をもって退社することが25日、分かった。

同局がこの日報道各社へ送ったファクスで発表した。金曜キャスターを担当する「報道ステーション」(月~金曜午後9時54分)も3月いっぱいで卒業する。「捲土(けんど)重来を期して-」とコメントしており、退社後も報道に携わる意向を示した。

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富川アナはファクスを通じて退社を報告した。「私はニュースの現場が大好きです。報道ステーションをテレビ朝日をその現場の全てを愛して生きてきたこと。感謝と誇りを持って私はこれからもニュースの現場に立ちます」とつづり、退社後も報道に携わる意向を示した。その上で「コロナ感染で私をはじめ番組への信頼を失わせてしまったこと今でも責任を感じ後悔も拭えてはおりませんが捲土重来を期して新しい現場へ誠実に挑んでまいります」と続けた。

富川アナは新型コロナの第1波が押し寄せた20年4月に陽性が判明。入院期間と自宅療養を含めて約50日間、番組を休養した。感染前後の経過で一時38度を超す発熱症状があったものの、すぐに平熱に落ち着いたことから番組出演を続けた経緯がある。その後に陽性となったことから富川アナは後日の放送内で「上司や会社に的確に報告せず出演を続けたことを深く反省しています」と謝罪した。

同番組ではその後チーフプロデューサー、フリーアナウンサー赤江珠緒(47)の夫で総合演出を務めるスタッフらも感染した。

富川アナは16年4月に古舘伊知郎(67)の後任として「報ステ」キャスターに就任。記者時代から事件、災害現場に迅速に向かうフットワークのよさが評価され、39歳の若さで抜てきされた。前任の古舘を尊敬しており、当初週4日のメインキャスターを担当して以降もたびたび助言を請いながら交流を続けた。

感染後の長期休暇を経て昨年10月からは、NHKを退職した大越健介氏がメインキャスターに就任。富川アナは週1回、金曜のキャスターを担当していた。関係者によると、金曜を除く平日は現場に出る意思も示していたが、思うように取材機会に恵まれなかった。

同局によると最後の出演は3月25日という。コメントには再び巻き返すことを意味する「捲土重来」の4字熟語が盛り込まれており、ニュースの現場に戻る決意をにじませている。