俳優宝田明(たからだ・あきら)さんが14日午前0時31分、肺炎のため都内の病院で亡くなったと18日、所属事務所などが発表した。87歳。関係者によると17日に通夜、18日に葬儀が、遺族の意向により近親者のみで執り行われた。喪主は妻将未(まさみ)さん。

訃報を、初主演映画と最後の主演映画が悼んだ。18日、代表作の映画「ゴジラ」シリーズが公式ツイッターで「突然の訃報に接し、大変驚いております。1954年11月3日公開の『ゴジラ』を皮切りに、数多くのゴジラシリーズにご出演をいただきました。晩年までゴジラを愛し続けてくださったレジェンドを失ってしまった事は残念でなりません。心からの感謝とともにご冥福をお祈り申し上げます」と追悼した。

54年公開のシリーズ第1作「ゴジラ」で映画初主演。「ゴジラ対モスラ」「ゴジラ FINAL WARS」などに出演し、関連イベントや上映会には宝田さんの存在があった。常々「ゴジラは私の同級生だと思っている」と話していた。

また、乃木坂46岩本蓮加(18)とのダブル主演映画「世の中にたえて桜のなかりせば」(三宅伸行監督、4月1日公開)ではエグゼクティブプロデューサーも務めた。遺作となった同作公式サイトには「この映画は宝田が『桜』をモチーフに企画を温め、宝田の情熱で実現に至ったものです」と記された。今月10日、同作完成舞台あいさつに腰痛のため車椅子に乗って登壇。映画製作への前向きな思いを語ったばかりだった。

急逝直前の状況も分かった。所属事務所関係者によると、宝田さんは11日に雑誌の取材を受けた。長時間話したというが疲れた様子を見せることもなく、ロシアによるウクライナ侵攻を非難するなど、平和への思いを熱く語っていた。

帰宅後の同日夜、腹痛や「熱っぽい」などと体調不良を訴えた。12日午前に救急車を呼び病院に救急搬送、入院した。病院では肺炎の治療のために会話はできなかったが、筆談で「おれはいつ退院できるのか」「部屋は何号室だ」と周囲に聞くなど、意識はハッキリしていたという。ところが、13日午後11時ごろ容体が急変。約1時間半後、将未さんにみとられながら亡くなった。お別れの会開催は今後検討するという。