作家の村上春樹氏(73)がDJを務めるTOKYO FM「村上RADIO」の特別番組「村上RADIO特別版 戦争をやめさせるための音楽」(午後11時)が18日、放送された。

ロシアによるウクライナ侵攻を受けて編成されたラジオ特番。村上氏は番組の冒頭で「音楽に戦争をやめさせるだけの力があるのか。正直言って、残念ながら音楽にはそういう力はないと思います。でも聞く人に戦争をやめさせなくちゃいけないという気持ちを起こさせる力はあります」。また「今日は8曲か9曲かけるつもりですが、それだけお聞きいただき、少なくともあなたは、前よりも強く戦争をやめさせなくちゃいけないという気持ちになっているはずです、おそらく」と伝えた。

ミュージシャンたちによる反戦歌、命の尊さや愛の大切さを歌詞に込めた楽曲を、村上氏が解説しながら紹介した。「犯罪やドラッグでむなしく命を落とす若者に、何があっても死ぬんじゃないと呼びかけ、大人たちに向かって彼らをしっかり支えてあげなくてはと訴えかける歌」とし、1曲目にはシンガー・ソングライター、ジェームス・テイラーの「ネヴァー・ダイ・ヤング」をかけた。村上氏は「年寄りが勝手に始めた戦争で、若い人たちが命を落としていく。昔からずっと続いていることですが、本当に悲しむべきことですよね」と話した。

終盤では「ヒトラーがドイツで行った行為は全て合法だった。そのことは忘れてはならない」とするキング牧師の演説の言葉を引用し、村上氏は「こういうことが言いたかったんでしょう。個人の自由を脅かす可能性を持つ法律の下では、個人の自由はまず間違いなく合法的に奪われていくだろう、と」と語った。権威主義にひかれる人が増えている風潮にもくぎを刺し「効率的かも知れないけれど、闇の方向に転べばとても危険な事態がもたらされます。だから、皆さんも十分気をつけてくださいね。ブルース・スプリングティーンの言葉じゃないですけど、指導者にただ黙っておとなしくついて行くと、大変なことになりますよ」。最後は「世界が平和になるといいですね」と結んだ。