タカラジェンヌを養成する宝塚音楽学校110期生40人の入学式が16日、兵庫県宝塚市の同校で行われ、うち39人が出席し、110期生が夢への第1歩を踏み出した。

予科生となる新入生総代の今井柚希さん(兵庫県西宮市)は「何度も何度も夢に見た入学式を迎え、とてもうれしく幸せな気持ちと、これからの2年間、あこがれの宝塚音楽学校で学ばせていただけることへの感謝の気持ちでいっぱいです」とコメントした。

娘役志望の伊藤亜優(あゆ)さん(兵庫県芦屋市)は「あこがれのグレーの制服を着ることができ、とても幸せな気持ちであるとともに、身の引き締まる思いです」。伝統的な制服姿で式典に臨み、高まる気持ちを表現した。

同じく娘役志望の永野春陽(はるひ)さん(大阪市)は「新たな仲間と出会うことができたうれしさとともに、伝統ある宝塚歌劇団の舞台に2年後は立つのだと思うと、身の引き締まる思いです」と言い、早くも予科、本科の2年のレッスンを終えた先への決意もにじませた。

また、男役志望の澤野桜子さん(札幌市)は、あこがれの道へ続く扉を開け「ここがスタートライン」と決意。「感謝、礼儀、初心を忘れず、お客様の記憶に残る、存在感あふれるタカラジェンヌになりたい」と精進を誓った。

40人は3月末、競争率17・3倍の難関を突破し、合格。今年も新型コロナウイルス感染拡大へ配慮し、国歌・校歌斉唱は事前録音した音源を使用。名前を呼ばれると「はいっ!」と講堂内に響き渡る声で返事をするのが、入学式なじみの光景だったが、起立と礼のみで進行した。

保護者や関係者ら、出席者の数も絞られ、本科生が新入生の制服に校章をつける恒例セレモニーなども取りやめた。3月に行われた108期生卒業式と同じく、新入生を含め関係者全員がPCR検査を受け、式典に臨んだ。この日朝、体調不良で欠席となった1人をのぞく39人が、式典に出席した。

中西達也校長は「この2年間、新型コロナウイルスの影響でとても不安な思いで過ごされてきたと思いますが、そのような厳しい状況下でも、憧れの宝塚歌劇の舞台に立ちたいという夢の実現に向け並々ならぬ努力を続け、見事に試験に合格し入学されました」と式辞を述べた。

コロナ禍にも心折れることなく門をたたいた新入生に「宝塚の舞台に立ちたいという夢は、これからは『宝塚の舞台に立つ』という達成すべき目標に変わることになります」と、夢へ向かう上での覚悟も説いた。

また「清く 正しく 美しく」の校訓をあげ「舞台人に必要な技能の基本や心構えを習得すべく稽古に励むとともに、1人の女性また社会人として相応しい礼儀や作法なども身に付け、夢と感動をお届けできる品格ある舞台人に育ってほしい」とも求めた。

40人は予科、本科と2年にわたり、声楽や日舞、洋舞などのダンス、演劇など技術に加えて、タカラジェンヌとしての心がけ、素養などを学び、歌劇団が110周年イヤーとなる2年後、24年の宝塚歌劇団入団を目指す。