役所広司(66)が2日、東京・丸の内ピカデリーで行われた主演映画「峠 最後のサムライ」(小泉堯史監督)の完成披露試写会に出席し、夫婦役で共演した松たか子(44)への思いを語った。

松のテレビドラマ初出演となった94年のNHK大河ドラマ「花の乱」などで共演経験があり、「実は松さんが20歳くらいの時に同じドラマに出ていて。絡みはなかったですが、外のモニターで、松さんがお姫さまで籠の中からでてくるシーンを見ました。すごく上品で、なんて華のある女優さんなんだろうと思いました」と振り返った。続けて「その頃からら見続けてきて、今回久しぶりにお会いして。女性としてもお母さんとしても、妻としても豊かになっていく感じがして。撮影の時は松さんの包容力でできあがった感じがしました」と語った。

隣で目をつぶり、かみしめるように聞いていた松は「本当にもったいない言葉だと思って…(役所の方を)見られません。こちらを」と照れ笑いを浮かべた。役所との夫婦役については「妻役をやらせていただけることがすごく勉強になると思いました」と語り、「ぜひ、と言ったものの、私でいいんだろうかと思っていた気持ちを包んでいただいたというか。本当に幸せな現場でした。ただいればいい、ただお芝居をすればいい現場ってあるんだなと。あらためて幸せに思いました」と話した。

映画は戊辰(ぼしん)戦争で武装中立を目指した長岡藩の武士、河井継之助にスポットを当てた司馬遼太郎氏の小説が原作。役所が河井、松が妻・おすがを演じた。試写会には小泉監督も登壇。故黒沢明監督の愛弟子として経験を積んできた小泉監督の演出の細かさには2人も感銘を受けたといい、役所は「遠くにいるエキストラも動かすし、僕の長セリフの時でも後ろで行進する。ここで失敗したらどうするんだと思ったことはありました」と苦笑いで振り返っていた。