米テキサス州の裁判所が4日、2012年に米コネチカット州の小学校で起きた銃乱射事件を巡って「でっちあげ」だと主張していた右派の陰謀論者として知られるラジオ番組司会者のアレックス・ジョーンズ被告(48)に、410万ドルの損害賠償金の支払いを命じる判決を下した。

ニューヨーク誌から「米国を代表する陰謀論者」と評されているジョーンズ氏は、トランプ前大統領とも親しく、昨年1月に起きた連邦議事堂襲撃事件の一因になったとも言われている。これまでも2001年の米同時多発テロや1969年の月面着陸を「やらせ」だと主張しており、児童20人を含む26人が犠牲になったサンディフック小学校銃乱射事件を巡っても「事件は演出されたもの」だと根拠のない主張をしていた。

同被告は、自身の虚偽の主張によって被害者家族らに対する誹謗(ひぼう)中傷や嫌がらせ、脅迫などが相次いだなどとして、今裁判の原告を含む複数の家族らから多額の賠償金を求める名誉毀損(きそん)訴訟を起こされている。今回の訴訟は6歳の息子を失った両親が、ジョーンズ被告と同被告の会社「フリー・スピーチ・システムズ」を相手取って2018年に1億5000万ドルの損害賠償を求める訴えを起こしたもので、他にも複数の訴訟を抱えている。

米メディアによると、同裁判とは別に懲罰的損害賠償についての裁判も予定されおり、原告側の弁護士は両親が求めている賠償金と同額になるよう陪審員に1億4590万ドルの支払いを命じるよう求めているという。懲罰的損害賠償金の支払額は、ジョーンズ被告の資産を元にして決められる。同被告が運営する米極右ニュースサイトInfoWarsは今年4月に米連邦破産法11条に基づく会社更生手続きを申請しているが、同サイトはサプリメントの販売などで多い時には1日に80万ドル、年間3億ドル近い売り上げを上げていることが分かっている。原告側の弁護士は、「お金を受け取り続ける限り、うそと誤った情報を拡散し続ける」と主張し、「どうか彼を止めて下さい」と陪審員に訴えている。

当初は事件は銃規制強化を狙ったやらせだったと主張をしていた同被告は、法廷では「100%本物だと信じている」と証言していた。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)