2019年(平31)にステージ4の舌がんで闘病した、歌手の堀ちえみ(55)が、来春、デビュー40周年記念ライブを開催することが決まり27日、都内で取材に応じた。手術で再建した舌は「障害が残ってしまった」状態だが、コロナ禍で1年、延期した記念ライブの実現に「こういう姿を想像だにしていなかった。本当に感無量。危ないかなと思った。生きてて良かった」と涙した。

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堀は文字、1つ1つを、ゆっくりつないで1つの単語として発した。19年2月に、頸部(けいぶ)リンパ節と舌の6割を切除し、太ももの組織を移植し、11時間に及んだ大手術の末、再建した舌で切々と語った。「まさか、歌えるなんて…社会復帰も出来ると思わなかった」と涙があふれた。

19年4月には、ステージ0と初期ながら食道がんも判明し内視鏡手術を行った。それでも「生きること、また皆様の前に立ってお話しできること、歌うこと。この3つをクリア」と目標を立て、術後5カ月でボイストレーニングを始めた。

20年1月に芸能活動を再開後、舌根を腹筋運動のように鍛え、再建した舌を動かすリハビリに取り組んだ。ただ、自分の名前が最も言いにくかった。「“り”と“ち”が大変。“え”も舌を邪魔する言葉で伝わりづらい」。それでも「1語、単語、1文、紙1枚、1冊と朗読と、外国の言葉を習得する感じで今の私の舌で一から発音を作り直し、練習した」と振り返った。

「正直、自分の人生を恨んだ」日々の中、つかんだものもあった。「言葉は伝わらなくても目、表情…心で歌を歌うことも、40年歌って初めて習得できた」。だから来年2月に東京、4月に大阪で開催するライブで「堀ちえみとして生き直しをしたい」と語った。

取材陣の求めに、85年の代表曲「リ・ボ・ン」を歌唱。「ごめんね…」と口ずさみ「泣いちゃいます」と涙した。ライブではシングル全20曲をフルコーラスで歌うといい「昭和の曲は歌詞が全部、物語。割愛せず心を込めて歌うことをお約束します」と誓った。【村上幸将】

 

◆堀ちえみの闘病 堀は近年、相次ぐ病に苦しんだ。14年に特発性重症急性膵炎(すいえん)で膵臓が壊死(えし)。15年には国指定の難病「特発性大腿骨頭(だいたいこっとう)壊死症」で右足を動かせなくなり、人工股関節置換術を受けた。関節リウマチと神経障害性疼痛(とうつう)にも見舞われた。18年5月から口内炎の自覚症状があったが飲んでいた薬の副作用と病院で診断された。ただ翌19年に舌がんが判明し、手術した。