宝塚音楽学校109期生40人の卒業式が2日、兵庫県宝塚市の同校で行われた。コロナ禍以降の卒業式にならい、生徒1人に保護者2人までに絞るなど、出席者数を削減。卒業生も入場まではマスクを着用したが、着席後は外して式典に臨んだ。

式典で中西達也校長は「このように卒業生がマスクを外し、皆さんの表情を見ながら学校での卒業式を開催できますこと、うれしく思います」と呼びかけた。

コロナ禍で入学し、卒業を迎えた109期生は、2年の学びの集大成にあたる2月開催の文化祭に、昨年は出演できず。例年、卒業する本科生とともに予科生も冒頭で出演するが、昨年は取りやめ。先月終わった自身たちの公演が、最初で最後の文化祭となった。

これらを踏まえて、中西校長は「皆さんは3年間にわたるコロナ禍の影響を入学前から受け続け、マスクの着用、3密や、外出を控えるなどの対策をとる一方、授業や行事が中止や変更となるなど、今までとは全く違う状況で学校生活を送ることとなり、本当に不自由で不安な思いに駆られたことと思います」。

昨夏の高校野球で優勝監督が「青春ってすごく密なので」と話した言葉をひきあいに出し、「まさに音楽学校も舞台人としての基本や教養などを身に付けるべく、密な行動や生活が求められ、それが安全で華やかなあの宝塚歌劇の舞台をつくることにつながるだけに本当に苦労したことと思います」と続けた。

今年の文化祭へかける思いは格別だった109期生に対し「(昨年は)とても悲しく悔しい思いをしたと思いますが、その後もさまざまな厳しい環境が続くなか、宝塚の舞台に立ちたいという強い思いを持ち続け、日々授業や稽古に励み、その集大成として同期生が一丸となって臨んだ今回の文化祭はその思いがあふれる本当に素晴らしいものでした」とねぎらった。

109期生は、4月22日に宝塚大劇場で開幕する雪組公演で初舞台を踏む。中西校長は「いよいよ夢であった宝塚の舞台に立つわけですが、これからは厳しいプロの舞台の世界に踏み出すことになりますので、まずはその『自覚と覚悟』をしっかり持ってスタートしていただきたい」。

この後、入団式をへて、タカラジェンヌとして第1歩を踏み出すが、音楽学校と違い、自らが芸を磨くしか前進はない。

それゆえ「受け身にならず、自発的にさまざまなことに大いにチャレンジしてほしい」「ご家族や先生方への感謝、同期、上級生や下級生との出会い、思い出も胸に、音楽学校で学んだことに責任と誇りを持ち、宝塚の生徒として品格ある自立した人となれるよう一層精進してください」などとし「不断の努力」を求めた。