英国の拠点となる邸宅フロッグモア・コテージからの退去を求められているヘンリー王子(38)とメーガン妃(41)夫妻が、およそ240万ポンド(約4億750万円)とされる改修費の返却を王室に求める可能性があると報じられた。米FOXニュースによると、父チャールズ国王から今年1月にウィンザー城の敷地内にあるフロッグモア・コテージを明け渡すよう言い渡された夫妻は、退去に伴う協議で入居に伴う改修費として支払った費用を全額返金するよう求める可能性があると伝えている。

邸宅は2018年の結婚時に、昨年9月に死去したエリザベス女王から結婚祝いとして贈られたもので、改修費は王室助成金から支払われたものの、20年に夫妻が王室を離脱して米カリフォルニア州に移住するにあたってその費用を返済することで合意。すでに全額返済を済ませていると伝えられている。国王は、ヘンリー王子の回顧録「スペア」が1月10日に発売された直後に弟のアンドルー王子に譲るため退去を命じたことが報じられ、夫妻の代理人も退去要請を認めている。

英テレグラフ紙によると、ヘンリー王子夫妻は退去を求められた際にアンドルー王子に邸宅を譲る話は聞いていなかったというが、とても失望したと伝えている。5月6日に行われる戴冠式の直後までに完全に明け渡すよう求められていると言うが、夫妻が戴冠式に出席するため渡英するかどうかは分かっていない。

離脱に伴い、英国警察による警護の対象外となった王子にとって、現在も警備がついているフロッグモア・コテージは英国内で自分たち夫妻と2人の子供たちにとって、唯一残された「安全な場所」だと考えており、それを失うことで今後は家族そろっての帰国が難しくなるとみられている。離脱後も王子は帰国時はフロッグモア・コテージに滞在しており、昨夏には一家そろっての帰国も果たしていた。王子は現在、英国滞在中の警備を巡って英政府を相手取って訴訟を起こしており、私費による警察警護を求めている。

一方で、アンドルー王子も20年間暮らした現在のウィンザー城の敷地内にある邸宅を離れたくないと友人に話しており、国王の提案に難色を示しているとされる。アンドルー王子は王室のスリム化計画に伴い、来月から助成金の支払いが大幅に減額されることから、現在の住まいを自費で賄うことが困難になると言われている。しかし、国王が対立する息子より、未成年への性的虐待の容疑で公務を退いた恥ずべき弟を優先したように見えることへの批判も高まっており、交渉は難航する可能性もありそうだ。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)