ロックバンド、ザ・バンドのギタリストとして60年代後半から70年にかけて名を残したカナダ出身のロビー・ロバートソンさんが9日、長い闘病の末に米ロサンゼルスで死去した。80歳だった。妻ジャネットさんや前妻、子供たちを含む家族に囲まれて息を引き取ったとマネジャーが明らかにした。死因は明らかにされていない。

ロバートソンさんは、カナダ人3人と米国人1人とザ・バンドの前身となるザ・ホークスで活動し、1965年から66年にかけてボブ・ディランのバックバンドを務めた。68年にバンド名をザ・バンドとし、「ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク」でデビュー。シングルカットされた「ザ・ウェイト」は、映画「イージー・ライダー」(69年)で使われて人気を博した。76年にサンフランシスコで行われた解散コンサート「ラスト・ワルツ」は、マーティン・スコセッシ監督によって映画化されている。

バンド解散後はソロデビューを果たし、音楽プロデューサーとしても活躍。スコセッシ監督の映画「レイジング・ブル」(80年)や「ディパーテッド」(06年)「ウルフ・オブ・ウォルストリート」(13年)などの音楽監督も務めている。ロバートソンさんは、亡くなる直前にスコセッシ監督とは14本目のタッグとなる今秋公開予定のレオナルド・ディカプリオ主演の「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」の音楽を完成させていたという。

08年にはザ・バンドと共にグラミー賞特別功労賞を受賞。11年にはカナダ勲章も授与されている。

スコセッシ監督は声明で、「私の最も親しい友人の一人で、私の人生と仕事において常に欠かせない人物だった。私たちが出会うずっと前から、彼の音楽は私の人生、そして私と何百万人もの他の人々にとって中心的な役割を果たしてきた」とコメント。「愛する人と一緒にいる時間はいくらあっても足りません。そして、私はロビーを愛していました」と追悼した。(ロサンゼルス=千歳香奈子)