劇作家、演出家の野田秀樹(67)が27日、東京・内幸町の日本記者クラブで会見し、コロナ禍で文化芸術が「不要不急」とされた経験を踏まえ、20年2月以降の活動を振り返った。
20年2月に演劇公演などが「不要不急」とされた当時を振り返り、「劇場を閉じていくようなことが発表されて。なぜ劇場だけが刺されるのかと反論の声明を書いた。自分は演劇でずっと生きているし、そういう人間にとっては不要不急ではない。生活、人生そのもの。なのに根拠なく進めていたのが腹立たしく思った」と回想した。「この国の文化芸術に対する人々の思いのありかたを感じまして。憤りに近いものさえ感じました」と吐露した。
「文化が共同体の礎でありまして。そこが崩れてしまうと、危ういものでもある。ロンドン留学した時に、イギリスは経済が悪かったけど、文化に対するプライドがあった。今の日本こういう態度は、気が付いたら足元すくわれちゃうんじゃないかなと思った」と危機感を募らせた。「最近の人は、舞台だけで食べる必要がなくなったというか、舞台だけで食べるんだっていう意識が薄いのかもしれない」と推測した。
3日前にロンドンから帰国したばかりという。「ロンドンは客席が完全に戻っている。開演前、騒然としていて。こんなにうるさかったか? ってくらい」と明かした。「日本も早く戻ってくれないかな。まだ静かで、劇場に入った人の心は戻ってない。居酒屋なんかは、もうみんなうるさいんだけどね。早く戻ってきてほしいなと思います」と願った。
文化芸術の価値を実感できる「国際芸術祭」の開催を構想しているという。「大きい規模の、世間に認められるような、みんなが知っている芸術祭が東京にできたらいいのになって夢を持っていました」とし、「コロナを経て、いかに芸術や文化というものがちゃんと認知されていないのかと思った。スポーツのワールドカップのような、そういうものが芸術の中でもあっていいはずだと思いました。今が呼びかけていくチャンスなんじゃないか」と述べた。



