宝塚歌劇団(兵庫県宝塚市)の25歳宙組団員が9月に転落死した問題で、歌劇団を持つ阪急電鉄の親会社、阪急阪神ホールディングス(HD)が動き、劇団側が、年内にも第三者委員会を設置する方向であることが20日、分かった。

前週の17日に大阪・梅田芸術劇場で行われた花組全国ツアー会場では、ファンからも環境整備を求める声が上がっていた。

第三者委は、過密な公演日程や、過重労働などの組織風土の改善を導くとみられる。

団員は9月30日朝、宝塚市内の自宅マンション敷地内で倒れているのが発見され、死亡。兵庫県警は自殺の可能性が高いと見て捜査を始めた。10月に劇団は、死亡の背後関係にいじめやパワハラなどがあったかなどを調べるため、大阪市を拠点とする「大江橋法律事務所」に依頼。11月10日には遺族側代理人が会見し、背景にパワハラがあったと明かした。

一方、14日に会見した劇団は、過重労働に加えて、上級生からの指導や叱責(しっせき)が重なり、団員に「強い心理的負荷」がかかったとしていた。加えて、劇団側の聞き取りには、宙組66人のうち4人が辞退。17日には、同法律事務に劇団を運営する阪急電鉄のグループ企業の役員が所属していると判明していた。

その同じ17日には、花組の全国ツアーが梅田芸術劇場で開幕。客席はほぼ満席となったが、観劇したファンからは、劇団と、阪急側へ信頼回復のため再調査を求める意見も出ていた。

40年来応援しているという大阪府の女性ファンは「どうしても今まで伝統の上にのっかって、労働条件が悪化していたのでは」と指摘。同時に、14日の劇団の会見で木場健之理事長の辞任にともない、12月1日付で次期理事長就任が決まった村上浩爾専務理事が、遺族側に「証拠」を求める発言をしたことを問題視。「次期理事長となられる方が、あのような発言とはひじょうに残念」とも話した。

また、別の女性ファンは「劇団の会見には失望した。頑張っている生徒もいる。その生徒を応援したいという思いもある。複雑な思いで、今日(観劇に)来た。生徒が本当の笑顔を取り戻せるように、劇団にはしっかりと再調査をしてほしい」とし、環境整備とともに、再調査を求める声も出ていた。