漫画家の井上雄彦氏(56)が初めて映画監督を務めたアニメ映画「THE FIRST SLAM DUNK」が、石原裕次郎賞に輝いた。27日に日刊スポーツ公式YouTubeチャンネルでプレミア配信された特別番組内で発表された。

90年代に「週刊少年ジャンプ」に連載された井上氏の代表作の漫画「SLAM DUNK」は、96年に連載を終了してからも人気は衰えず、作品をきっかけに選手を志したファンも多数輩出するなどした、バスケットボール漫画の金字塔。漫画では右肩上がりに成長する主人公の桜木花道が描かれたが、今回の映画では井上氏が原作、脚本、そして監督として、2年生の宮城リョータを主人公にした、全く新しい「SLAM DUNK」を世に送り出した。日本だけでなく、中国で記録的ヒットを記録するなど、アジアや世界でも大きな支持を獲得した。

▽井上雄彦氏コメント

このたびは石原裕次郎賞という、非常に栄誉ある大きな賞をいただきまして、本当にありがとうございます。「SLAM DUNK」はもともと漫画なんですけれども、映画、ということで、ずっとやってこなかったことでもありますし、映画にするにあたって、そのまま漫画をスライドさせる、みたいなことは自分としては本意ではなくて、映画である、映画館で見てもらえるものというものは、そもそもどういうものか、イチから考えました。作っている最中も「映画館でみんなに見てもらいたい」という気持ちから…そこをスタートでありゴールとして作ってきました。作品として、スタッフ全員でもらった賞だと思っています。このたびは、石原裕次郎賞、本当にありがとうございました。

◆「THE FIRST SLAM DUNK」 沖縄で生まれ育った湘北のポイントガード・宮城リョータは、地元で有名な選手だった3つ上の兄の背中を追うようにバスケにのめりこむ。高校2年生になり桜木、流川、赤木、三井たちとインターハイ王者、山王工業に挑もうとしていた。

◆井上雄彦(いのうえ・たけひこ)1967年(昭42)1月12日、鹿児島県生まれ。88年に第35回手塚賞入選作「楓パープル」で漫画家デビュー。98年に「モーニング」(講談社)で「バガボンド」、99年には「週刊ヤングジャンプ」(集英社)で車いすバスケットボールを題材にした「リアル」の連載を開始。06年に「スラムダンク奨学金」を創設。