シンガー・ソングライター吉田拓郎(77)のベストアルバム「Another Side Of Takuro 25」が、6月12日にフォーライフから発売されることが27日、分かった。。

デビューした1970年(昭45)から99年(平11)までの30年間の中から「たえこMY LOVE」や「大阪行きは何番ホーム」「全部抱きしめて」など全25曲の収録。拓郎自らが選曲して、オリジナルマスターテープから最新のデジタル技術でリマスターリングした。さらに、アルバムに封入するセルフ・ライナーノーツには、それぞれの楽曲への思いをつづっている。さらに収録曲に合わせて、各時代の拓郎を追っての写真集も内装されている。

一昨年に歌手活動からの引退を表明して2年がたつが、拓郎にとって来年はデビュー55周年。同時に拓郎が井上陽水(75)、泉谷しげる(75)、小室等(80)と設立したレコード会社のフォーライフも50周年を迎える“アニバーサリー・イヤー”となる。今回の「Another Side Of Takuro 25」は、そのタイミングを前にして発売されるが、拓郎にとっても自らの音楽人生を振り返った究極のベスト・アルバムとなる。

関係者は「昨夏、何かやりましょうとフォーライフから拓郎に提案したところ、ベスト・アルバムをやろうかということになったのです。その中身の企画発案は拓郎から出て来ました。それらに関連してタイトルも拓郎が自ら考えたものです。夏の終わり頃から曲の選曲に入って、今年に入ってライナーノーツを書き上げました」。拓郎が自ら関わった形でアルバムを古巣のフォーライフから出すのは、98年の「Hawaiian Rhapsody」以来26年ぶりとなる。

収録曲は拓郎がデビューした70年から99年までの30年間にエレック・レコード、CBS・ソニー(現ソニー・ミュージックエンタテインメント)、そしてフォーライフの3メーカーから発売した作品の中から、拓郎自ら25曲を選び出した。収録曲の1曲、1曲に対して、その作品を選曲した理由や思いなどを拓郎自らライナーノーツにつづった。まさに、題名通りの「Another Side」、「もう一つの吉田拓郎」をコンセプトにしたベストアルバム。関係者は「これまでのベスト・アルバムとは一線を画して、アナザーサイドから拓郎自身の作品を振り返っている」と説明している。

選考の対象となった作品はシングルも含めた26枚のオリジナル・アルバム。およそ330曲を拓郎自ら聴きなおして感慨深い作品、印象に残っている作品を選んだという。

71年11月にエレックから発売したアルバム「人間なんて」から「どうしてこんなに悲しいんだろう」をピックアップ。他にも13週間に渡ってオリコン1位を獲得した72年7月のCBS・ソニー移籍第一弾「元気です。」の中からは「せんこう花火」、さらにフォーライフからの第2弾目のシングルとして76年12月に発売した「たえこMY LOVE」、97年のアルバム「吉田拓郎とLOVE2 ALLSTARS」に収録してKinki Kidsもカバーして大ヒットした「全部抱きしめて」などを収めている。他にもミツカン酢のCM曲だった「吉田町の唄」やフジテレビのアニメ「こちら葛飾区亀有公園前派出所」の挿入歌「気持ちだよ」なども収録されている。

また、ボーナストラックとして阿久悠作詞で加藤和彦作曲、拓郎と加藤がデュエットした、99年12月発売の「純情」。テレビ東京系ドラマ「織田信長」の主題歌として起用された。

CDは7インチサイズ(シングルジャケットサイズ)の豪華ボックス仕様。アルバム特典として60ページのフォトブックが付く。フォトブックの写真は現在、選別中。「収録曲に合わせ、各時代を追ったものを考えています。ファンにとってもレアな内容の写真集に仕上げていきたい」と意気込んでいるという。