あしなが学生募金の春の街頭募金活動が行われている。11日、大阪市の南海難波駅前では「あしなが学生募金 関西オープニングセレモニー」が行われ、タレント西川きよし(78)の姿があった。
ACジャパン「がんばれ、全国のすずめたち。」のCMでもおなじみの「あしなが運動」は、病気や災害、自死などで親を亡くした子どもたちや、障がいなどで親が働けない家庭の子どもたちを奨学金、教育支援、心のケアで支えている。
きよしは、なんばグランド花月での公演の合間に駆けつけ、「物価高や災害で大変ですが、お父さん、お母さんを失った子供たちを、助けてやってください。あしなが募金よろしくお願いします」と呼びかけた。募金を受け取ると、「おおきに。大切に使わせていただきます」と大きな目玉を見開き、礼を述べた。
中には高額紙幣を募金する人もおり、「『人情紙のごとし』なんて言いますし、景気も悪い時ですが、皆さん、大変な中でまだまだ捨てたものやないですね」と道行く人々の“人情”に感謝した。そんな人情に応えるため、きよしもバラエティー番組などで見せる姿そのまま、写真撮影にも気さくに応じ、活動に寄与していた。
1986年(昭61)に遺児学生から「募金活動を応援してほしい」と手紙をもらって以降、ほぼ毎年のようにボランティアとして街頭に立ってきた。募金活動だけではなく、刑務所や拘置所、児童施設への慰問も行っている。
「社会勉強になるんですよ。芸能界だけで62年もさせてもらっていると、この世界だけではいけない。いろんな所に行って勉強させてもらって。それが負担にならない性格でよかった」
芸能界の大御所芸人の立場にあるきよしだが、マネジャーら関係者2人だけを連れ、ふらっと活動に参加するフットワークの軽さが際立つ。
「こればっかりは先輩といえども、強要できません。やらしてもらおうという方がおられたら、もちろん、ご一緒にやりたい。僕もいつおらんようになるかわかりませんから」
こうした活動を約40年にわたって続けられるのは並大抵のことではない。きよしがここまで続けられる理由は何なのか。
「家が貧しかったからですよ。僕も高校に行きたかったから、その気持ちが分かる」
きよしは父親の病気で高校進学をあきらめ、就職した。学歴が関係ない芸の道に転じ、苦労しながらも横山やすしさんとのコンビで大ブレーク。ヘレンと結婚し、子供3人を育て上げたが、若い頃の自分のような思いをしないよう、「1人でも幸せな子供が増えたらいいな」と願っている。
大阪では55年ぶり2回目となる万博、大阪・関西万博にも訪れ、「世界がものすごいスピードアップしているが、そない急いでついていくことはない」と感じたという。
「人間1人ひとりに歴史がある。立ち止まって、小休止して、どう進めていくか。便利なものには乗せてもらい、自分の得意なことは教えてあげる。僕はこういうことならやらせてもらえる。無理をしたら疲れる」
自分ができることを自分のペースで。「“目玉の恩返し”の気持ちで真心でやらせてもらってます」「行ける限りは毎年、行きたい」。きよしの活動は続く。【阪口孝志】



