女優秋吉久美子(71)、シャンソン歌手聖児セミョーノフ(41)、音楽ユニット、チャラン・ポ・ランタンのメンバーもも(32)が19日、都内で音楽劇「三文オペラ・歌舞伎町の絞首台」(12月17~21日、東京・新宿フェイス)の制作発表に出席した。
「三文オペラ」は、ドイツの劇作家ベルトルト・ブレヒトが1920年代のロンドンを舞台に退廃した人々の姿を描き、作曲家クルト・ヴァイルが曲を書いている。舞台を2025年の東京・新宿の歌舞伎町にして描く。貧民街の顔役の悪党メッキースをセミョーノフが、その愛人の売春婦ジェニーを秋吉、正妻ポリーをももが演じる。
「こんにちは娼婦です」と、登場した秋吉は「50年前は初々しかったんですよ。シラケ世代とか言われましたけどね。でも、見た目もかわいかったので、悪役をやったことなかったんです。ついにここまで来たかっていう感じですね」。
そして「約100年前の作品なんですけど、今の時代と一緒で、やっぱり全体主義とか戦争の時代、それから格差の時代です。社会の底が抜けかかっている中で、庶民が生きて行くしかないという退廃的な作品。ブレヒト、ヴァイルが前衛的に作った作品。当時は何も楽しみがなく、演劇とかは上流階級の型の楽しみだったと思うんですけどね。そういうのを覆して、庶民も見られて、しかもそれが力になるという作品。天才青年たちが頑張って作ったお芝居だと思います」と話した。
歌の歌詞も担当したセミョーノフは「『三文オペラ』という芝居が好きで、いつかやってみたいと思っていました。歌詞もひどくて、放送禁止用語ばかり。そこに素晴らしい曲がついていたり、逆だったりします。ごちゃ混ぜ演劇アラモードで、ひどい人しか出てこない芝居です(笑い)」。
ももは「音楽がへんてこで、だけども魅力的な不思議な感じ。いただいた時に、本当にこれは歌えるのかしらっていう感じでした。だけど歌ってみると気持ちよさもある。歌詞はひどいけどメロディーが美しい。ポリーはすごく強い女子だけど『ももさんしかいない』とオファーを受けました。いったい、どう思われてるんだろう」と笑った。
今回は新宿・歌舞伎町のど真ん中にある格闘技会場としても有名な新宿フェイスでの上演。
歌舞伎町の思い出について、秋吉は「なんか、歌舞伎町って、子供の時によく行ってました。ご飯を食べに行ったりする学生街で、歌声喫茶とか。区役所通りでご飯を食べて、夜中にケーキを食べに行っていました。今の渋谷と下北が混じった感じでしたね。今は怖い。男の人がみんな顔が白くて、金髪。ツーリストがガラガラを引いて歩いている」。
セミョーノフは「今、トー横キッズのいるところで遊んでいました。ゴールデン街のバーで働いていたので、日常世界の街でもあるし、今は問題になっている街で怖い、汚い。当時も朝歩くときは、上を見ながら歩いていました。誰か、落ちて来て巻き込まれたら怖いので」。
ももは「初ステージが新宿、歌舞伎町でずっと歌を歌っていました。昼も夜も新宿、新宿育ち。ガヤガヤするけど落ち着ける。『三文オペラ』自体は100年前の物語だけど、それを今の歌舞伎町に落とし込んだ人間模様。昔話より、今の日本、歌舞伎町で起きていることを目の当たりにする感覚で楽しんでいただけると思います」と話した。
他に藤井レオナ、松本実、エミ・エレオノーラ、真洋、奥津裕也、トースティー、湯山玲子プロデューサーが出席した。



