2008年(平20)の映画「クライマーズ・ハイ」などで知られる、映画監督の原田眞人(はらだ・まさと)さんが8日午前0時39分、都内の病院で亡くなった。76歳だった。業務提携先のつばさプロジェクトが13日、発表した。故人の遺志により葬儀は近親者のみで執り行い、喪主は妻の瑞穂さんが務める。後日、お別れの会を予定している。

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原田さんからは取材のたびに「監督以前にジャーナリスト、取材者だから…見ているよ」と言われ、全てを試されているように感じていた。そんな原田さんから「関ケ原の合戦を映画化したいんだけど企画が通らない。そのことを書いてもらえないだろうか?」とリクエストされたのは、15年8月8日に「日本のいちばん長い日」が公開された後のことだった。複数の映画会社に聞いたところ、原田さんが企画を持ち込んだのは事実だが、製作費が超大になると予想され通すのは困難との声が相次いだ。

同10月9日に都内で行われた東京国際映画祭特集上映企画「原田眞人の世界」の会見に、原田さんは樹木希林さんと出席。「次の企画は?」と聞かれると、樹木さんが「何もありません」とかわしたのを横目に「樹木さんがやるとは誰も思ってない歴史上の重要人物の役をやってもらいたい」と答えた。関ケ原の合戦の映画化の話をしていると思ったが、報じることで状況がさらに悪化しては困ると思い、確認したが「書いていいよ」と言うので原稿を書き、紙面に掲載された。

それから2年後の17年8月に、岡田准一主演の「関ケ原」が公開された。原田さんの執念が実ったと感慨深かったのと同時に、取材者としての目は作品作りだけでなく、映画メディアの“使い方”にまで生きていたと思い知らされた。【村上幸将】