“しゃべり屋”古舘伊知郎(71)が、今月7日の東京・EXシアター六本木から「古舘伊知郎トーキングブルース 2025」をスタートさせた。来年1月からは福岡、名古屋、大阪、横浜と“しゃべりの巡礼”に出る。テーマは「2025(ニセンニジュウゴ)」。今年を2時間、ノンストップでしゃべりまくる。古舘に聞いてみた。【小谷野俊哉】
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「トーキングブルース」は、他に類を見ない古舘ならではの唯一無二のジャンルだ。
「やっぱり面白いのはアメリカのニューヨークのスタンドアップ(コメディー)。ジョークでもないし、もちろん講談でもないし、落語でもないわけですよね。漫談ともまたちょっと違うんですね。街裏ピンクさんの漫談、素晴らしいと思うんですよ。あの感じね、現代の漫談だと、どのジャンルでもないんですよ。だから楽しいというか。オリジナルという感じはないんですよ、確立した時に初めてオリジナルになるから。まだ途上なので死ぬまでやっていたい。しゃべりながらここで“しゃべり死に”したいと思ってますから。トーキングブルースの舞台で“しゃべり死に”するっていうのは私の生きる目標なんですね。だから、まだ確立してないから苦しいし、でも面白いし、オリジナルだと早く言いたいっていうのも一つあります」
1988年(昭63)から作り上げてきた「トーキングブルース」は、こだわり抜いている。
「反面で、なんでそんな風に執着できるかっていうと、既存のもしかしたら勲何等をもらえたり、下手したら人間国宝と言われるような、国や政府やいろんなものが公に認めてくれるような古典芸能ジャンルとか確立された世界。相撲とかはなし家さんとか講談師とかありじゃないですか。それがないんで、腹が立つんですよ。自分もそういう権威が欲しいんだと思うんですね。情けないから、やっぱり欲しいんだと思うんですよ、見えっぱりで。だけど本当に腹立つんですよ」
確立された権威に対する反発、そして憧れがある。
「なんで、ああいう人たちが人間国宝って言われるのかってことを考えてみたら、僕は『国宝』って大ヒットしてる映画を見た時に思ったんですよ。(女形の小野川万菊役の)田中泯さんが最後、アパートで暮らしていて、いまわの際みたいになってる時、ナレーションが入って『人間国宝なんぞと呼ばれてますが』みたいなのが入ってるんだけど、その時に分かったんですよ。『国宝』って映画を見に行ってたら“人間国宝”ってなってたから分かったんですよ。人間国宝ってキャッチフレーズですよね。キャッチフレーズを言葉として認めて人間国宝って指定するなと思うんですけどね」
キャッチフレーズをつけるのは古舘が、最も得意とする分野だ。
「プロレス実況をやったからこそ分かるんだと思うんですけど、人間発電所ブルーノ・サンマルチノ、人間爆撃機ジョニー・バレンタインって。人間発電所っておかしいですよね。(F1ドライバーのアイルトン・セナ)音速の貴公子も、おかしいですよね。そういう風にくっつけるんですよ。人間にして固定する国宝っていう財宝だと、本当に人間の国宝なんておかしいじゃないですか。だったらお前、ルーブル美術館から盗まれろって話だから。人間国宝ってフレーズだったんだと思ったんですよ。そんな、なんかよく分からないフレーズで指定されて、そういう人たちに嫉妬があるんですよ」(続く)
▼「古舘伊知郎トーキングブルース『2025』」
26年1月18日 福岡・Zepp福岡
26年2月12日 愛知・Zepp名古屋
26年3月7日 大阪・Zeppなんば
26年3月20日 神奈川・Zepp横浜
◆古舘伊知郎(ふるたち・いちろう)1954年(昭29)12月7日、東京都生まれ。立大卒業後の77にテレビ朝日入社。同8月からプロレス中継を担当。84年6月退社、フリーとなり「古舘プロジェクト」設立。85~90年(平2)フジテレビ系「夜のヒットスタジオDELUXE、SUPER」司会。89~94年フジテレビ系「F1グランプリ実況中継」。94~96年NHK「紅白歌合戦」司会。94~05年日本テレビ系「おしゃれカンケイ」司会。04~16年「報道ステーション」キャスター。現在、TBS系「ゴゴスマ」水曜日コメンテーターなど。血液型AB。



