「朝ドラ」と呼ばれるNHK連続テレビ小説が、多くの一線級女優を輩出してきたことはいまさら言うまでもないかもしれない。半年を優に超える収録期間で、若手女優は、いやおうなく鍛えられる。ヒロインはもちろん、助演クラスからも注目株が現れる。
先日発表となったブルーリボン賞の取材で改めて実感した。
「ゆきてかへらぬ」「遠い山なみ」「片思い世界」の3作品で難役を演じ分け、主演女優賞となった広瀬すず(27)は、7年前に朝ドラ「なつぞら」のヒロインを務めている。取材の中でこの作品が転機となったことを明かした。
「それまでは、自分で人との距離を作っちゃう、人見知りなところがありました。『なつぞら』はちょうど100作目だったこともあって、歴代のヒロインの方が出てくださったんです。もう人見知りしている場合じゃない環境だったんですね。ノリでもいいから話さなきゃ、と。そうしたら皆さんちゃんと話してくださるんですね。ご自分のことも、私のことも。私にも興味を持ってくれたことで、『あっ、人ってこんなに優しいんだ』って。あれがきっかけになったと思いますね。距離感が近くなった人とお芝居するのって全然違います。何より楽しいし、それが作品のためにもなる。そんな実感がありました」
ちょうど20歳になる頃で、「お酒が飲めるようになって、話す機会が増えたことも大きいと思います」と振り返った。
「ナイトフラワー」で北川景子ふんするシングルマザーを守る女性格闘家という異色の役で助演女優賞となった森田望智(29)は、この春から朝ドラ「巡るスワン」のヒロインを務める。
5年前の「おかえりモネ」でヒロインの先輩気象予報士、一昨年の「虎に翼」でヒロインの親友と、階段を上るように出番を増やし、次作でヒロインの座を射止めることになった。言葉の端々に感性の鋭さがのぞいた広瀬とは対照的にコツコツと積み上げるタイプのようだ。
「ナイトフラワー」の格闘家役では7・5キロ増の肉体改造に取り組んだ。その道の達人、鈴木亮平のアドバイスも受け、「半年間は、フィレ肉と米だけで1日5食。最低週3は格闘技と筋トレのレッスンに通いました」と過酷な日々を振り返った。
「いつもは心を作って、それが外見に映し出されるという意識がありましたけど、今回は筋肉をつけることで自信が生まれる感覚がありました。改めて心と体はつながっているんだ、と」と役作りの心中も明かした。一方で、肉体改造の時期が、朝ドラ収録の終盤と重なってしまったとも。
「『虎に翼』の最後の方が少しかぶっちゃったんですよね。まあ、着物姿だったから良かったと思うんですけど、花江ちゃん(役名)の最後の方は少しポッチャリしていたかもしれません」と苦笑いした。
「次」を目指す「朝ドラ」助演クラスの女優たちの、知られざる奮闘ぶりも垣間見た気がした。【相原斎】



