佐藤二朗(57)が23日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで行われた、原作・脚本・主演を兼ねた映画「名無し」(城定秀夫監督)公開記念舞台あいさつに登壇した。「5年前に(都内の)ニコタマ(二子玉川)に家族3人で行って、妻と子どもがラーメンを食べている間、ダイエット中の僕は食べられず、何となく歩いて、公園で家族が遊んでいる中、1人でウジウジ…ボーッと考えて思い浮かんだ話」と着想した当時を振り返った。
ただ、横で聞いていたSUPER EIGHT丸山隆平(42)「怖いですよ! そんな穏やかな風景の中で驚いたように、佐藤が紡ぎ出した物語は、着想時のエピソードとは正反対の凄惨(せいさん)なものだ。冒頭から、白昼のファミレスを襲った無差別大量殺人事件が描かれる。防犯カメラには、容疑者の中年男が鋭利な刃物のようなモノで被害者を切り付けるも、男が右手に握っているはずの凶器が映っておらず、捜査班は困惑する。
そうした過激なテーマと特殊な世界観ゆえに、お蔵入り寸前となっていたオリジナル脚本が編集者の目に留まり、永田諒氏の作画によって「ヒーローズコミックス」で漫画化。その、初の漫画原作を手がけた作品を実写映画化したのが今回の作品だ。劇中で佐藤は、右手で触れた瞬間、相手は消え、死が訪れる怪物“名無し”こと山田太郎、丸山が少年期の名無しを保護し、名付け親になる巡査・照夫、MEGUMI(44)が山田と同じ児童養護施設で育ち共に暮らし、山田が怪物になるトリガーにもなる山田花子、佐々木蔵之介(58)が、犯行を止めるべく名無しを追う刑事・国枝を、それぞれ演じた。佐藤は「たくさんのプロの人たちの力を借りて、皆さんに見てもらう日が来たのは感慨深い」と語った。
佐藤と言えば、25年公開の映画「爆弾」(永井聡監督)で演じた、主演の山田裕貴(35)が演じた警視庁捜査一課・強行犯捜査係の刑事・類家らを爆破予告とクイズを繰り出しながら翻弄(ほんろう)していく謎の中年男スズキタゴサクが話題を呼んだ。タゴサクは、ひたすらしゃべりまくる怪しい男だったが、「名無し」で演じた山田は、MEGUMIから「ほとんどセリフがないに等しい役なのに、あんなに存在感があるって、すごいと思った」とたたえられたほど、セリフが少ない。
佐藤は「城定さんと何回か打ち合わせしていく中で…帰りに自分で運転しながら、しゃべんないのも、どうだろうと思って」と、山田太郎をしゃべらないキャラにするアイデアが湧いたと説明。「お褒めにあずかった『爆弾』と公開時期も割と近く、両方とも悪で。タゴサクは、しゃべりまくるから、どう差別化するかと思って、家に帰って、しゃべっていたところを『…』にして、しゃべんない世界観にした」と、具体的に脚本を変えた部分を明かした。
劇中には、山田太郎が絞り出すような声で心情を吐露する場面もあるが「どうしても言いたいセリフは、僕のイメージでは長い間、人と会話していないから、声帯が退化してつぶれているイメージでやった」と説明した。



