20日に硫化水素を吸って自殺したタレント清水由貴子さん(享年49)の死亡直前までの足取りが22日、明らかになった。20日午後にJR御殿場駅から母親(84)とタクシーで冨士霊園に向かい、同園内で母親をトイレに行かせるなど、最後まで介護を続けていた。また、30年間も清水さんのマネジャーを務めた富士原光男氏(57)が同霊園で会見。苦渋の思いを語るとともに、清水さんが契約社員の仕事を先週までに辞めたことを明かした。

 長年にわたる母の介護疲れが原因だったのか。自殺を図った清水さんは、亡くなる直前まで母の介護をこなしていた。父親の墓石がある冨士霊園まで利用した「富士急伊豆タクシー」の御殿場営業所がこの日、清水さん親子を乗せたドライバーから聴いた内容を明かした。

 この男性運転手(63)によると、清水さん親子は20日午後3時30分、JR御殿場駅のタクシー乗り場に現れた。母の車いすをトランクに積み、母に手を貸して後部座席に乗せた。同3時50分ごろに霊園内の会館前で途中下車。母をトイレに行かせ、花と線香を購入した。母をもう1度車いすに乗せ、運転手と一緒に車いすを押すなど、30分程度の時間を費やしたという。運転手は「特別に変わった様子はなく、やさしく介護していた」と振り返った。

 霊園内の父の墓石に到着したのが午後4時25分。乗車時は駅に戻る往復利用の予定だったが、清水さんは「もうちょっと時間がかかりそうだから、1度帰って下さい」と運転手に告げ、親子でその場に残ったという。その約30分後の午後5時ごろ、清水さんは硫化水素を吸って自殺。営業所の担当者は「冨士霊園は花の名所でもあり、日常的に行くところ。自殺なんて記憶にない」と驚きを隠せなかった。

 この日夕方には、同霊園で富士原氏が会見。清水さんのデビュー時からマネジメントを担当していただけに、突然の自殺にショックを受けた様子だった。「介護が負担と感じる様子はなかった。仕事をしている時は明るくて元気。人一倍気を使ってきた子が、最後にみんなに迷惑をかけるなんて…」と言葉を詰まらせた。

 06年3月に芸能界から事実上の引退をした後、入力オペレーターの契約社員を務めていたが、先週までに契約を解除。自殺に向けての周辺準備ともみられる行動があったが、18日夜には同居している母、妹良子さん(42)と3人で普通に食事をしていたという。

 清水さんの通夜は24日、葬儀・告別式は25日に静岡・御殿場市内で密葬として行われる予定。

 [2009年4月23日8時5分

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