サッカー日本代表が今日4日、W杯アジア最終予選オーストラリア戦に勝利するか、引き分ければ5度目のW杯出場が決まる。大一番を実況するのはテレビ朝日の吉野真治アナウンサー(34)。高校時代、クラブチーム東京都選抜で元日本代表FW永井雄一郎(34=横浜FC)と2トップを組んだ経験もある。これまで実況した日本代表の試合は6戦負けなし。実況席から勝利を後押しする。

 大一番を前に周囲から勇気づけられる言葉をもらった。以前、番組で共演したとんねるず木梨憲武(51)から「おまえの実況が熱くて好きだ」と言われた。うれしくて鳥肌が立った。準備は万端だ。「お酒は1週間前から断っています」。さらには「先日、左奥歯の詰め物が取れました。知らぬ間に緊張していたんですね」。程よい緊張感も保てているという。

 実は「日本代表」が夢だった。大学卒業までサッカー漬けの人生だった。3歳で初めてボールを触り、高校時代はFC町田ユース(現ゼルビア)でプレー。高1時に都選抜で元日本代表FW永井と2トップを組んだ経験もある。Jリーガーを夢見て慶大サッカー部の門をたたいたが1年時、左膝の半月板を痛めた。その後は思うようなプレーができず、選手兼マネジャーとなりプロを諦めた。「日本代表になりたかった」という夢はかなわなかったが、実況アナを目指した。

 02年にテレ朝入社から10年間、角沢照治アナウンサー(42)ら実況の先輩の後ろにサブアナウンサーとして立ち「いつか放送席に座る」と言い聞かせてきた。サッカー解説者のセルジオ越後氏からは「吉野みたいなアナウンサーが実況をやった方がいい」と言われたこともある。その言葉に勇気をもらい、11年1月、アジア杯グループリーグのシリア戦で代表戦を初実況。そこから実況した日本代表戦は5勝1分けと「不敗神話」を持っている。

 3歳からの夢、W杯に最も近づく瞬間が訪れた。試合当日を思い浮かべ、「真っ青に埋まる光景が、本当にすごいんです」と興奮しそうになるが「冷静に実況したい」。予想スコアは「3-2。決勝点は香川真司」。フジテレビ長坂哲夫アナ、テレ朝角沢アナに続く、民放では3人目のW杯決定実況に臨む。【三須一紀】