酒を1滴も飲まない妻が、何を思ったか突然フランスに行き、シャンパーニュ騎士団のディプロマ(修了証明書)を取得しに行く、と言う。よくよく聞いてみると、妻が上級講師の資格を持っている日本フィンガーフード協会の丸山佳枝代表とシャンパーニュのメゾンを訪ね、学び、試飲し、叙任を受ける、といううらやまし過ぎる企画。ボクも、ボクも、と手を挙げて黒一点、ご婦人方のご一行に交ぜていただいた。

せっかくフランスに行くのだから、とまずパリに入り、リヴゴーシュの小さなホテルに泊まり、朝からのみの市を冷やかし、シャンゼリゼを往復。マレ地区のカフェで一服、ピカソ美術館をじっくり見て、夜はル・プロコープへ。

1686年創業のパリ最古のビストロの1つで、ナポレオン、ボルテールやルソーなどの偉人たちが集った社交場だったとのこと。バターの中で泳いでいるドーバーソール(舌平目)に、ブルゴーニュのシャルドネを合わせれば、まさに王道の至福。2杯目はヴォルネイを。タンニンが滑らかで華やかなアロマが白身魚とよくマリアージュしてトレビアン。良いですねぇ、パリ。うっとりしていると向かい側では炭酸水を飲みながら妻が「この椅子、ボロくね?」と年季の入った椅子をガタガタ揺らしている。壊れると困るからやめてくれ。

翌日はTGVに乗り、ストラスブールへ。EU議会がある土地で、私は日本・EU友好議員連盟の会長として公務で今まで3度訪れていたが、観光は初めて。キョロキョロしていると、長蛇の列ができているビストロがあり、並んでみる。ドイツ国境に近いだけあって、おすすめの一皿はソーセージ、厚切りベーコン、ハム、ザワークラウトの盛り合わせ。ピルスナーの白ビール、リースリングが合い、これまた大満足。

その後ローカル線でアルザスワイン街道の中心地、コルマールへ。妻の敬愛する料理の先輩のご友人が家族で経営する、ドメーヌ・バルメス・ビュシェ訪問ツアーに合流させていただく。ワイナリーオーナーのマキシムさんが次々と試飲させてくださったワインは全部で10種類。アルザスワインの完全制覇だ。リースリング、ゲヴェルツ、ピノグリ、スパークリングなど。それぞれのミネラルやアロマに畑のテロワールが表現されていて、いずれも今まで飲んだことのない名品。大量生産ではない、丁寧に造られたワインの繊細な味わいを満喫した。

試飲と知りつつも吐き出すにはもったいなく、そのまま突入した地元のミシュラン2つ星のル・シャンバールで、さらに開けられた美酒に舌鼓を打つうちに、さすがに許容量を超え、不覚にも寝落ち。

幸せな旅は続く。