大臣の離任式でスタッフから花束を手渡される堀内詔子氏(2022年3月31日撮影)
大臣の離任式でスタッフから花束を手渡される堀内詔子氏(2022年3月31日撮影)

昨年10月4日の岸田政権発足に伴い、五輪相&ワクチン相として初入閣した堀内詔子氏が、3月31日をもって、その任を終えた。閣僚20人(当時)中13人が初入閣というフレッシュさが強調された岸田内閣で、当選3回(当時)での抜てき。3人しかいない女性閣僚の一角だった。所属は岸田派。自民党総裁選を勝利した岸田文雄首相を支援し、論功行賞的な意味合いも含めて身内から起用された側面もあったが、半年あまりでお役御免となった。

任期最終日の3月31日、内閣府で離任式が行われた。官僚からは「東京大会レガシーの国内外への発信にご尽力いただいた」「ワクチン接種体制の構築を後押しいただいた」などの言葉が送られ、堀内氏は「過分なお言葉をいただいた」と応じた。国会答弁でのいっぱいいっぱいだった表情とは対照的な笑顔で応じた。

その後の記者会見では「この仕事をいただいた時は身の引き締まる思いだった。全力で取り組んできたつもりではあります」と振り返り、岸田首相の自身への評価について「『よくやりきった』と思ってくださっているという風には感じた」などと語った。

オミクロン株による新型コロナ第6波がぶり返しつつある中という、間の悪いタイミングでの退任となったが、職への未練などに関する言葉はなかった。今後ワクチン相兼任となり、兼務する担務が4つに増える松野博一官房長官について問われると「総理が決めることでコメントは差し控えたい」と述べるにとどまった。

大臣離任式でスタッフにあいさつする堀内詔子氏(2022年3月31日)
大臣離任式でスタッフにあいさつする堀内詔子氏(2022年3月31日)

閣僚が退任する際、スキャンダルなどで辞任する場合もあるが、堅実な布陣で船出した岸田内閣ではまだ、そうした動きはない。そんな岸田内閣で堀内氏の「退場」の仕方は、なんとなく微妙だった。そもそも五輪相は今年3月末で設置期限が終わることは分かっていた中で、ワクチン相兼任に。ワクチン相としても活躍して欲しいとの思いはあったはずだが、国会答弁で行き詰まることもしばしばだった。結果的に、ワクチン相兼任とした岸田首相の判断は正しかったのか、疑問が出ていることは確かだ。

岸田内閣が発足した昨年10月は、ワクチン接種も進んでコロナ第5波は収束気味だった。ワクチン相の正式名称は「ワクチン接種推進担当相」で、接種推進の旗振り役。ただ、発足後に第6波が発生し、必ずしも専門分野ではない堀内氏は、当初サポート体制も完全ではなく「荷が重かったのではないか」(政界関係者)。抜てき人事とはいえ、手腕も未知数だった。「他の職務との兼務となる堀内氏を据えたということは、ワクチン接種に腰を据えて取り組む体制とはいえなかった」と、首相の起用判断に疑問を呈する関係者もいる。首相にとっては誤算だったはずだ。

そして今、第6波での感染者増が再び懸念されつつある中、首相は自身が深く信頼する松野氏に、ワクチン相を引き継がせた。今のタイミングでワクチン相が交代する「間の抜けたような事態」(自民党関係者)も、「官房長官が引き継ぐ」という流れをつくることで、なんとなくうやむやになってしまった感がある。

前の菅内閣でワクチン接種を担当した河野太郎氏は、菅義偉前首相による官邸主導力が良くも悪くも色濃くにじんだワクチン政策で、接種促進や感染拡大収束という結果を残した。そんな河野氏からバトンを引き継いだ堀内氏だったが、4度目のワクチン接種が必要との声も出る中で、感染再拡大傾向時に退任することに。若手ながら大臣経験者という箔(はく)はついた格好だが、自身の態勢を立て直す流れには、最後まで持ち込めなかったのではないだろうか。ちなみに今後は、1議員として衆院厚生労働委員会に所属する予定で、その立場からワクチン行政を「応援する」(堀内氏)そうだ。【中山知子】