児童手当や育児休業給付を拡充する少子化対策関連法案は19日の衆院本会議で、自民、公明両党の賛成多数により可決され、衆院を通過した。財源確保のため、公的医療保険料に上乗せして徴収する「子ども・子育て支援金」を2026年度に創設。現役から高齢者まで幅広い世代に負担を求める。政府は「実質負担はない」としているが、立憲民主、日本維新の会、共産、国民民主といった野党は「説明が不十分」などと批判、反対した。

衆院の審議で、政府は社会保障費の歳出削減の具体策や実質負担ゼロの根拠に踏み込まず、参院でどう説明するかが焦点となる。政府、与党は今国会での成立を目指す。

岸田文雄首相が「次元の異なる」とうたう対策を法案に盛り込んだ。経済的な支援としては、児童手当の支給を高校生年代まで延長し、所得制限を撤廃。第3子以降は月3万円に倍増する。他に、両親が共に育休を14日以上取った場合、育休給付を最大28日間、実質10割に引き上げる。

保育サービスも拡充し、親の就労に関係なく預けられる「こども誰でも通園制度」を設ける。

実現には、今後3年間に年最大3兆6000億円の財源が必要。社会保障費の歳出削減や支援金などで賄う。

支援金は26年度に総額6千億円を徴収。順次引き上げ、28年度に1兆円とする。個人の負担は加入する公的医療保険や収入に応じて異なる。

政府が示した負担額の試算によると、28年度は会社員らの「被用者保険」では年収600万円で月1000円、年収1000万円の場合は月1650円。自営業者らが加入する国民健康保険、75歳以上の後期高齢者医療制度では、年収80万円でいずれも月50円などと幅がある。会社員らについては、事業主も原則的に同額を負担する。(共同)