築地市場の移転先である豊洲市場の建物の下に盛り土がなかった問題で、石原慎太郎元都知事(83)は17日、都内で取材に応じ、コンクリート壁の地下空間を設けることは「一切、報告を受けていない」と話した。この日午後、当時の状況を再確認したとした上で「やっぱり役人にだまされてたんだ」と外出。帰宅後、その内容を明かした。

 問題をめぐっては、石原氏はこれまで、08年5月の知事定例会見で「コンクリート箱」を埋める案に言及していたことについて「下(都庁の役人)から聞いたことを伝えただけ」としていた。一方、当時の市場長の比留間英人氏は「知事から調べるよう指示があった」と説明。この発言の“ずれ”について石原氏はこの日、「ある専門委員から聞いて、私が逆に(比留間氏に)こんな話があると言った」と修正した。

 石原氏がアイデアの1つとして挙げたとするコンクリートの「箱」案については、比留間氏もコスト高で断念したことを石原氏に報告したとしている。「空間」案採用の報告を聞いていないとする石原氏の説明と矛盾しない。

 「空間」案は09年7月から10年7月までの間に採用が決まったとみられる。都は知事当時の石原氏の発言が影響していないか調査している。石原氏は「私の名誉に関わる」として、当時の特別秘書兵藤茂氏にメモなどを含めて確認したといい、「(都から)なんの報告もないうちにああいうの(空間案)ができて、今の事態になった」と話した。