東日本大震災発生直後に誕生した瀬川虎君が今日11日、6歳の誕生日を迎える。今春からは小学1年生。祖父母からプレゼントされたランドセルを背負った虎君は、4月から始まる学校生活に「新しいお友だちとサッカーがしたい。漢字をたくさん覚えたい」と心躍らせている。

 J1仙台の元選手で仙台大サッカー部コーチの父誠さん(42)も、日々成長する姿に目を見張る。

 誠さん 通っているサッカースクール(ベガルタ仙台)の先輩が、プロになりたいから炭酸飲料を飲むのをやめたと伝え聞いたらしいんです。それから「虎もプロ選手になりたいから炭酸はやめる」と宣言して大好きだったラムネを断ったりして。サッカーに取り組む姿勢がすごいんです。

 「僕はひとりで大丈夫だから何かあったら自分の命は自分で守ってね」。1人で塾通いも始めた虎君の口から出た言葉に母史佳さん(44)も驚かされた。

 史佳さん どこで教わってきたのか、塾に行く時に突然そう言い出したんです。虎にとって3月11日は6歳の誕生日ですが、身内を失った大勢の方にとっては七回忌。この時期になるといろいろな思いがよぎる。虎には、やさしく人を元気づける存在でいてもらいたいと思っています。

 11年3月11日、東北被災3県では虎君を含め104人(岩手21人、宮城46人、福島37人)の新生児が誕生している。復興への希望の光は、すくすくと育っている。【下田雄一】