大阪の学校法人「森友学園」をめぐる問題で、理事長退任を表明している籠池泰典氏が、15日午後に東京都内で予定していた日本外国特派員協会の会見を“ドタキャン”した。会見は来週以降に延期される見通し。ただ籠池氏は妻諄子氏と長男佳茂氏と予定通り上京、親交のあるノンフィクション作家菅野完氏の関係先へ。同所には一時、報道陣約100人が詰め掛ける騒ぎとなったが、籠池氏は終始無言で、稲田朋美防衛相との関係などについて語ることはなかった。

 学園の国有地格安取得問題や稲田氏との関係などについて、籠池氏がどう語るか注目された会見が突然、中止となった。外国特派員協会などによると、14日夜に籠池氏側から延期要請があったという。この日、特派員協会は各方面への中止連絡に追われ、報道各社は籠池氏の動向に振り回されるなど混乱の1日となった。

 会見は中止でも、籠池ファミリーは予定通りに上京。午前8時ごろ、大阪・豊中市の自宅を出発し、午前11時前に大阪・伊丹空港からの便で羽田空港に到着した。スーツにコートを羽織り、大きなマスク姿の籠池氏は、報道陣の問いかけに無言でタクシーに乗り込むと、都内にある菅野氏の関係先に向かい、午後6時過ぎまで滞在。菅野氏によると、インタビューを受けるなどして過ごしていたという。午後5時半ごろには、そば店の店員が盛りそば4人分の出前を届けに訪れた。

 籠池氏は、同所を出る際も報道陣からの質問に答えることはなかった。ずらり並んだカメラに向かって両手を振る妻諄子氏らとともに、慌ただしく空港へ。結局、会見中止の理由も、日帰り上京の目的も、本人の口から明かされることはなかった。

 籠池氏にインタビューを行ったという菅野氏が報道陣に対応。同氏は籠池氏が語った話として「現役閣僚の1人が籠池氏側に数百万円の現金を渡したと聞いた。籠池氏は小学校建設費用のための寄付として受け取っていた」と明かした。相手はこれまで名前が挙がっている人物ではなく、籠池氏は「野党がチームをつくって来れば(名前を)話す」としているという。

 また菅野氏は小学校認可の問題の責任者として大阪府の松井一郎知事、国有地売却交渉の責任者として当時の理財局長だった迫田英典国税庁長官を名指しし「責任を問われるべきは公人だ」と批判。さらに、問題が表面化した2月ごろ、財務省の佐川宣寿理財局長から籠池夫妻の弁護士に「10日でいいから身を隠してくれ」と依頼電話があったことも明かした。一方の佐川氏はこの日、衆院財務金融委員会で「隠れてくれなどと言った事実はない」と否定。双方の主張は食い違っている。

 菅野氏によると、籠池氏は国会の参考人招致にも応じる意思を示しているという。ただ、大阪府と大阪市が国有地売却をめぐる問題について真相究明に協力することが条件であるとした。今日16日は籠池氏が園長を務める塚本幼稚園の卒園式だといい、卒園式終了後に「森友学園」の理事長を辞任する意向だという。