安倍晋三首相は27日の参院予算委員会で、森友学園をめぐる問題で、国会の証人喚問に応じるよう求められている昭恵夫人を、ときに「夫婦愛」を持ち出しながら、かばい続けた。

 首相の母洋子さんが、昭恵夫人を「日本の総理夫人としては失格」とコメントしたとする一部報道を指摘されると、「昨晩も、母と妻と兄夫婦、その長男と楽しく会話した。懸念は一切ない」と切り返した。夫人の人物像を問われ「連れ添って25年以上。自分自身の生き方を大切にする人物」と述べ、「私が今日まで議員として過ごせたのは、妻のサポートあってこそ。感謝している」とのろけた。

 学園の籠池泰典氏が、夫人に講演料10万円を渡したと主張していることを問われると、「講演料をもらわないことの方が圧倒的に多い。講演料で生活をしているわけではない」と不快感を表明。「私の妻をおとしめようとしている。度が過ぎるということは申し上げておきたい」と、いら立ちを隠さなかった。

 一方、首相は籠池氏には厳しい発言を続けた。学園が建設を予定した小学校の名誉校長に、夫人が一時就任したことを念頭に、「夫人にも軽率な点があったのではないか」と問われると、「まさに籠池氏の責任であり、籠池氏が責任を果たしてもらわなければならない」と、切り捨てた。夫人はこの日、出席を予定していた「高校生未来会議」の出席をキャンセルした。

 17年度予算案は委員会採決を経て、参院本会議で可決成立。野党が今後、首相を追及する場は限られる。自民党は幕引きを狙うが、野党は夫人の国会招致を含め、追及を続ける。【中山知子】