流行語も輝かしい戦歴に加えたかった!? 10日、現役引退を表明したフィギュアスケートの元世界女王、浅田真央選手(26=中京大)の代名詞はトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)だが、その発言として一躍脚光を浴びたのは「ハーフ、ハーフ」だった。

 飛び出したのは、ソチ五輪から帰国した直後の日本外国特派員協会での会見。進退の注目からその確率を問われると、思案した結果、「今のところハーフ、ハーフぐらいです」とほほ笑み交じりに答えた。独特の表現の伝えたいところは「半々」と容易に理解できるが、本来なら「フィフティー、フィフティー」が正解だろう。ただ、きっと少し笑っていたのは本人もうっすらと「誤用」に気付いていたからで、その天然ぶりもまた魅力の1つだった。

 この発言は14年スポーツ界で頻繁に使われた。フィギュア界だけでなく、野球界、陸上界などで「ハーフ、ハーフ」がブームに。その後に休養を決断した浅田だったが、その休み期間のイベントでは意図的に自らも「ハーフ、ハーフ」を使っていた。関係者の「ここまできたら流行語大賞を狙おう」との冗談交じりの提案を、うれしそうに聞く姿もあった。

 結局、流行語大賞は逃したが、いまでも、誰もが演技とともに思い出す「浅田語録」の筆頭に。演技だけでなく、発言でも印象に深く刻まれるアスリートだった。【阿部健吾】