将棋の最年少プロ棋士、藤井聡太4段(14)が羽生善治3冠(46)を破った。インターネットテレビ局Abema(アベマ)TVの番組企画「藤井聡太四段 炎の七番勝負 第7局」が23日放送され、先手の藤井4段が111手で、羽生3冠との接戦を制した。昨年10月に史上最年少でプロ入りした中学生棋士との初対戦を終えた羽生3冠も「すごい人が現れたな」と実力を認めた。現役の実力棋士と対戦した7番勝負は6勝1敗で大きく勝ち越し。非公式戦とはいえ、盤上の天才少年がその実力を見せつけた。

 最年少棋士が、将棋界の第一人者に競り勝った。激しい攻防となった終盤、両者持ち時間を使い切ってから5手。羽生3冠が頭を下げた。藤井4段は「とても楽しい時間で、あっという間でした。僕の立場で羽生先生と対局できるのはめったにない機会。ありがたいと同時に緊張もありました」と振り返った。

 将棋界の頂点に君臨する羽生3冠は、藤井4段が「特別な存在」と意識し、対局を希望していた。「羽生先生の将棋を見てここまで来た部分もありますし、勝ったのは特別な感慨があります」。学生服姿の藤井4段は初々しく話した。

 対局は2月18日に行われた。先手の藤井4段が中盤以降にリードを奪い、一時は羽生3冠に追い上げられたものの、冷静に受け止めて勝ち切った。藤井4段は「気負わず自然体で臨んだ。終盤、勝ちを意識した局面で読み筋にない手を指され、動揺した。終盤における羽生3冠の怖さを実感した」と話した。

 羽生3冠は対局後、「非常に攻守バランスよく指されて、攻める時には攻めて、守る時には守ってと、非常にしっかりしている将棋」と評価。藤井4段のレベルを「かなり完成されており、私がプロになり立てのところとは違うと思う」とも。「今の時点でも非常に強いと思うが、ここからどれくらい伸びていくか。すごい人が現れたなと思いました」と認めた。