与党が、14日から断続的に約22時間続いた徹夜国会の末、「禁じ手」を使って「共謀罪」法案の採決に踏み切った。

 犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ「テロ等準備罪」を新設する改正組織犯罪処罰法は、15日朝の参院本会議で自民、公明両党などの賛成多数で可決、成立した。

 しかし、本来行うべき参院法務委員会での採決をすっ飛ばして、いきなり本会議で採決を行う「中間報告」という、「奇策中の奇策」(野党議員)を経た末のことだった。

 法案採決のための参院本会議が始まったのは、15日午前2時半ごろ。午前4時半ごろにいったん休憩に入り、約1時間後の同5時半すぎに再開された。

 投票の際には、自由党、社民党など一部野党議員が「牛歩」戦術で抵抗。伊達忠一議長から「2分以内」の投票を促され、駆け込み的な投票となる場面もあった。全員が投票後、議院運営委員会の各党理事らによる協議が壇上で続くなど、混乱は最後まで続いた。

 野党は「参院の自殺行為だ」「強行採決以上の強行採決」と、猛反発。この採決に先立ち、参院で山本幸三地方創生担当相と金田法相への問責決議案、自民党の山本順三参院議院運営委員長の解任決議案を提出。14日夜には、内閣不信任決議案を衆院に提出したが、いずれも与党などに否決された。

 最初に行われた山本地方創生担当相の問責決議案の審議が始まり、法案採決をめぐる与野党バトルに突入したのは、14日午前10時。「共謀罪」法案の可決・成立は15日午前7時半すぎで、実に22時間近い「徹夜国会」となった。【中山知子】