将棋の最年少プロ棋士、藤井聡太四段(14)が21日、大阪市の関西将棋会館で指された王将戦予選で若手実力者の澤田真吾六段(25)を破り、歴代1位の連勝記録となる神谷広志八段の28連勝(87年)に並んだ。

 プロデビューから約半年で「28」の最多連勝記録に肩を並べた最年少棋士で中学3年の藤井聡太四段(14)。母裕子さん(47)は21日、息子の大記録達成に喜びのコメントを寄せた。白星を重ねる快進撃の要因には、藤井家の自然体の子育てがあった。

 母裕子さんは息子の大記録達成に喜びのコメントを寄せた。日本将棋連盟を通じ「お疲れさまでした。連勝というより目の前の一局をと、いつも思っていましたが、それが28まで続いたことはとてもすごいことだと思います」。

 14歳の新星はどんな環境で育ったのか? 子育ては藤井四段の将棋と同じように自然体だ。裕子さんは「(夫と)子育てについて改まって話し合ったことはないです。最終的には子どもがどうしたいのかを優先してきたと思います」。

 5歳で始めた将棋に夢中になった。「考えすぎて頭が割れそう」。幼稚園児だった藤井四段が難解な詰め将棋に挑んだ際に口にした。

 「好きなことには本当に夢中になる。他のことに注意がいかなくなるぐらい」と裕子さん。「何かに集中しているときは極力、邪魔しないようにしてきた」といい、勝敗を気に掛けながらも、落ち着いて目の前の対局に取り組めるように、普段は勝ち負けの話はしないことにしている。

 ただ同じ環境で育った4歳年上の兄とは性格もこだわりも違う。「興味の対象、こだわるモノが違う。聡太は数字に細かい。すごく気になる。私や兄が通り過ぎるところにひっかかる」。例えば、買い物に出かけるときなどの目的地への時間の計算。母と兄はだいたいでいい。ところが「聡太はだいたいではイヤ。きっちり時間を出す。あそこまで何時間、何分かかる。数字へのこだわりがすごい。1分、2分でも細かく言うんです」。こだわりも個性の1つ。これからも自然体の子育ては変わらない。【松浦隆司】