安倍晋三首相は26日、東京都議選の告示後、初めて自民党公認候補の応援に入った。加計学園問題の対応で内閣支持率が急落する中、辛辣(しんらつ)なヤジが飛ぶ可能性がある街頭演説は避け、文京区内の小学校の体育館で、支援者だけを集めた演説会に参加した。あいさつは15分。有権者の批判にさらされる環境を避けたとしか思えない、守りの姿勢を露呈した。

 声援に包まれた「ホーム」。首相は、「古い議会を新しく」と訴える都民ファーストの会代表・小池百合子都知事を「新しい議会か古い議会かを問うのは、間違いだ」と批判。かつて小池氏が所属し、都政でも躍進したが解党された日本新党にも触れ「日本新党の都議は、今はどこにもいない」と皮肉った。小池氏や「都民-」に対決姿勢を示す半面、自民党が惨敗した09年都議選を念頭に「同じくらい厳しい風が吹いている」と党への逆風を認めた。

 応援は急きょ決定。入り口には、プラカードの持ち込み自粛を求める紙が張られ、ピリピリムードが漂った。逆風の一因でもある加計学園問題への言及は、「売り言葉に買い言葉。私の答弁姿勢に問題があった」と述べただけだった。

 終了後、会場を後にする首相に、支援者から「うそはつかないでください」と声が飛んだ。各候補者陣営では、首相の応援を敬遠する空気も強く、次の日程は未定だ。【中山知子】