12年、14年に東京都知事選に立候補した、元日弁連会長の宇都宮健児氏(70)がニッカンスポーツコムの取材に応じた。

 終盤戦に差しかかった東京都議選の有権者に「1人1人の候補者がどういう人なのか、議員になった場合、都政をチェックできるか、どういう都政、都議会を作ろうとしているかを見て投票すべきです」と訴えた。

 宇都宮氏は、小池百合子都知事(64)の約1年の都政について「16年11月に決まっていた築地市場の豊洲への移転を延期した結果、建物地下に盛り土がなされていなかったこと、地下空間の問題が明らかになった。東京五輪についても3競技場について代替案を出しコストを400億円削減。知事給与も半額にした」と評価した。

 一方で告示3日前の20日に築地、豊洲両市場の共存案を提案したことについては異論を示した。「都民に約束した豊洲の地下水の無害化が出来ていないのに(推進、反対派)両方にいいような、あいまいな落としどころを出した」と語った。

 都民ファーストの会についても、知事の判断を待って「都民の食の安全と安心を守ります」から「築地市場のブランド力を守り、豊洲市場を物流拠点として活用します」と政策を変えたことなど「市場問題はじめ政策が未熟」と指摘した。

 宇都宮氏は「石原、猪瀬、舛添都政をチェックできなかった自民党、公明党の責任は大きいが、小池知事と都民ファーストの会との関係は、さらに密接。都政をチェックできるのか」と疑問を投げかけ、小池知事が代表を務める都民ファーストの会と自民党が第1党を競り合う構図が、独り歩きしている現状に警鐘を鳴らした。

 その上で「東京都は現在、非正規労働者が増え、貧困の格差が広がり、住宅問題も深刻。地方自治体の重要な使命は、住民の暮らしをどうするかということ」と、有権者が投票の際に注目すべきポイントは、都民の生活に根ざした政策を提示しているか否かだと強調した。【村上幸将】